冬こそ楽しめる!好奇心いっぱいの「学びの沖縄親子旅行」~後編~

公開日 : 2019年12月18日
最終更新 :
冬の沖縄にもお楽しみがいっぱい!
冬の沖縄にもお楽しみがいっぱい!

普段の旅行を一生モノの学びの旅に。
今夏に発行された『えらべる!できる!ぼうけん図鑑 沖縄』の著者が、親子旅行を好奇心あふれた「まなべる!トラベル」に変える、考え方やコツをお伝えしていきます。

お子さんと、冬の沖縄でできる学びの好奇心体験をご紹介。今回は「後編」です!

前編はこちらをご覧ください

<ナンダコレ!その3>沖縄の冬ならでは! 珍しい食べ物

<ナンダコレ!その3>沖縄の冬ならでは! 珍しい食べ物
沖縄の野菜といえばゴーヤを思い浮かべがちですが……

秋冬にも、本土ではなかなか見られない野菜がぞくぞくと収穫されます。沖縄の野菜を育てる土壌には、サンゴなどのカルシウムやミネラル分が多く含まれるため、栄養素が多いと言われています。この時期に旬を迎え、お子さんが食べやすく、市場や沖縄料理店のメニューなどでよく見かけるおいしい野菜をご紹介していきますね。

●裏側が紫の「ハンダマ」!

一見普通の葉っぱ、でも裏返すとギョッとするほど鮮やかな紫! 生でも食べられますが、火を通すと粘りが出て、クセなく食べられます。このハンダマ、驚きの栄養素がたっぷりと入っていて、ビタミンB2、A、鉄分、βカロテン、ポリフェノールなどを豊富に含み、免疫力をアップさせる効能が期待できるほか、疲労回復、目やお肌にもよいとされています。沖縄では「血の葉・不老長寿の食べ物」と言われ、古くから薬草代わりとして食べられてきました。
沖縄料理のレストランでは、サラダ、炒め物、白和えなどによく使われています。旅行中にお疲れ気味のお子さんや、パパママの疲労回復にも活躍しそうですね!


●黄色くて長~い! 「島にんじん」

"中国から伝わったといわれるにんじんで、ひょろひょろと細長く、色はおもに鮮やかな黄色です。ほどよく野生味を感じる、少しゴボウに似た風味と甘さがあります。一般的なにんじんよりカリウム(代謝を促し、細胞が元気になる)やβカロテン、ビタミンCを豊富に含んでいます。栄養をすべていただくため、沖縄では「皮をむかずに」使うのが本来とされています。

調理法は普通のにんじんと変わりなく、どんな料理にも合います!沖縄のお店では、にんじんシリシリーやちゃんぷるーに入っていることが多いです。

●むっちりねっとり♡「ターンム」

ターンム(田芋)は、沖縄の亜熱帯気候を生かして栽培されている伝統的農産物で、読んで字のごとく水田で育ちます。特産地の金武町と宜野湾市は、どちらも澄んだ湧き水が豊富な土地です。

ターンムは親芋に子芋や孫芋が次々になることから、子孫繁栄を願って食べる縁起のよい食材とされてきました。

食感は里芋のように粘り気があり、ほんのりと甘さがあります。栄養面でも重宝され、食物繊維やカリウム、カルシウム、鉄分、ビタミンA・Cなどがとても多く含まれています。

よく食べられている料理法としては……

*冬至やお正月に、ジューシー(沖縄風炊き込みごはん)の上に乗せて食べる
*天ぷらにする(「ドゥル天」と呼ばれる)
*ふかしてマッシュし、だし汁を含ませ、いろいろな食材を練りこむ(「ドゥルワカシー」と呼ばれる)

*冬は体が温まる、ターンムと豚肉のとろみのあるスープ「ムジ汁」
*ちょっと甘さを加えて「ターンムパイ」なども、道の駅やスーパーなどで気軽に手に入ります。サクッ・ねっとりしておいしいですよ~。


●ゴツい見た目で栄養いっぱい! 「タンカン」

野生に近い果物と言われている亜熱帯性のかんきつ類で、おもに栽培に適した環境が揃っているやんばる(北部)の特産品です。とても珍しい果物ですが、沖縄では1~2月の短い時期に集中してスーパーや市場などで見かけます。
「ん、ちょっと汚れてる?」と一瞬思ってしまうような見た目をしていますが、口に含むと濃厚な甘さと適度な酸味が感じられ、もう1個、もう1個とやみつきになってしまいます。含んでいるビタミンCは、一般的な本土のみかんの約2倍。さらにビタミンCの吸収を助けるビタミンPも豊富に含まれているという、見かけによらないスーパーフルーツです!

特産地である本部町の伊豆味(いずみ)町をはじめ、沖縄本島北部では、シーズン中に農園の軒先や道の駅でタンカンを直売しているところがたくさんあります。もぎたてのタンカンの香りのよさは、格別です。旅の最中のビタミン補給にぴったり!

●沖縄の年越しそばはもちろん、「沖縄そば!」

沖縄でも年越しそばを食べますが、おなじみの日本そばではなく、沖縄そばを食べます。温かい出汁の効いた沖縄そばは北風が吹く日にぴったり。スタンダードな沖縄そばは三枚肉やかまぼこが乗っていますが、ほかにもソーキそば、プルプルコリコリのコラーゲン入りの軟骨ソーキそば、テビチ(豚足)そば、ゆしどうふそば、フーチバー(よもぎ)そば、アーサそばなど、沖縄らしい食材を組み合わせていろいろな味が楽しめます!

●お正月には「中身汁」を食す

中身汁とは、豚の内臓(モツ)のアクをていねいに取り、シイタケやこんにゃくとコトコト煮たもの。驚くほど軟らかいモツと、優しい味のお出汁がたまりません!沖縄では普段からよく食べられているので、沖縄料理のお店に行くとたいてい味わえます。お手軽に食べたくなった時は、スーパーのサンエーやおみやげ屋さんなどでも購入できます(私も大好きで、よく購入します♡)。

<ナンダコレ!その4>日本一早く、真っピンクの桜が咲く!

<ナンダコレ!その4>日本一早く、真っピンクの桜が咲く!
花の色も薄い濃いがあって、かわいい!

毎年1月中旬頃から2月にかけて開花し、沖縄県内のあちこちで見かける鮮やかなピンクの桜。琉球寒緋桜(リュウキュウカンヒザクラ)と呼ばれる、本州のソメイヨシノとは違う種類の桜です。花束のようにある程度固まって、下を向いて咲くのが特徴。

もともとは台湾から持ち込まれ植樹されたものが、沖縄の気候に合い、自生するようになったとのことで、今ではすっかり沖縄に定着しています。日本一早い桜前線は、沖縄本島北部から南へ移動しながら咲いていきます。そして、あっという間に散ってしまうソメイヨシノと違い、長ければ1ヵ月ほど咲いています!

そうそう、沖縄にもお花見があります! ただ、住んでみて驚いたのは、「桜の樹の下でお酒を飲む習慣がない」ということ。「お花見」というと、沖縄ではハイキングのように山を上り下りして、歩きながら眺める、というスタイルが定番です。

そして、開花の時期に合わせて、あちこちで桜祭りが開催されています。エイサーほか地域の伝統芸能が披露されるなど、沖縄の文化に触れられるイベントなどもあります。旅行中に、狙いを定めて訪れるのがおすすめです!

沖縄で代表的な桜祭りは、以下が挙げられます。

<北部>
*もとぶ八重岳桜まつり(八重岳桜の森公園)
*名護桜まつり(名護城公園)

<南部>
*なはさくらまつり(与儀公園)
*やえせ桜まつり(八重瀬公園)

琉球王国の「北の王様」が住んでいた城跡と一緒に桜を堪能!
琉球王国の「北の王様」が住んでいた城跡と一緒に桜を堪能!

沖縄では、地形を利用したすばらしい景色をどの地域でも見られるのですが、私のおすすめをひとつだけ選ぶのであれば、「今帰仁城跡(なきじんぐすくあと)」です!

「今帰仁城」とは、沖縄にある世界遺産のひとつ。14世紀の琉球王国で北部、中部、南部の3つの山にそれぞれいた三王のひとり、「北山王」の居城だった場所。1609年には薩摩軍による琉球侵攻にあい、城は炎上したそうです。

ですが、沖縄のグスクらしい、地形に沿った美しい曲線の古い石垣は今でも残っています。標高100mの高台からは海や離島も見渡せます。カンヒザクラと合わせた見事な景観は、ほかではなかなか見られないものです!

敷地内には、城主の住宅、女官たちの部屋、儀式や執務を行う北殿と南殿、乗馬の訓練場、武士の住宅などがあったとされる「跡」があります。また、神様にまつわる行事を行った「御嶽(うたき)」と呼ばれる場所も2ヵ所あります。

お子さんとは、本州と違う桜を観察しつつ、「昔の王様が住んでいたんだね~」「ここらへんが台所かな?」など琉球王族の暮らしを想像しながら歩いても楽しいと思います。また、「今帰仁村歴史文化センター」に、今帰仁城跡から出土した出土品(陶磁器や資料)が展示されているので、歴史、文化を知りたくなったらぜひ。

なお、桜祭りの期間中は、日が落ちると桜がライトアップされます。参道をろうそくの灯火で彩る「グスク花あかり」など、昼間とはひと味違う幻想的な雰囲気を味わうことができます。

【今帰仁城跡 「今帰仁グスク桜まつり」情報】
・ 開催日時: 2020年2月1日(土)~2月9日(日) 8:00~21:00 ※ライトアップは18:00~
・ 住所: 沖縄県国頭郡今帰仁村今泊5101 ※那覇から約1時間30分
・ TEL: 0980-56-2256(今帰仁グスク桜まつり実行委員会)
・ 入場料: 大人400円/小・中・高校生300円
※小学生未満は無料。チケットは「グスク交流センター」の発券所で購入できます。

そのほかにも……

●1年中枯れない亜熱帯の森で、ヒカゲヘゴや巨大な実、どんぐりを探す!

●金武町や東村、やんばるなどでカヌーに乗り、本州ではなかなか見られないマングローブ、ミナミトビハゼ(とんとんみー)や巨大シジミを観察!

など、まだまだご紹介しきれない楽しみ方が沖縄にはたくさんあります。ぜひ、お子さんの興味のあるところから体験してみてください。それがいちばんの学びになるはずです。

次回は、冬にこそ楽しめる「学びの施設・スポット」をご紹介しますので、どうぞお楽しみに!

文 : mananico 菊池彩子(学びと親子旅行研究家)
地球の歩き方BOOKS『~きみだけの「ナンダコレ!」に会いに行こう~ えらべる!できる!ぼうけん図鑑 沖縄』著者。「学びをもっと楽しく、カッコよく!」をモットーに、教育事業コンサルティング、学びコンテンツ企画立案を行う企画制作ユニットmananico(マナニコ)に所属。

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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