町家で洋食 夢へ一歩 京都・井手町 開設予定のカフェに協力
町家などの古民家が多く残る京都府井手町で、調理師の室慎一郎さん(42)が「町家を改修した自分の店で洋食を提供したい」と町家探しに奔走しています。同町の里山風景に惚れ込んで転入した室さん。良い物件はなかなか見つかりませんが、町が2019年春に開設予定の「町家カフェide」で食事を提供することになり、夢の実現に一歩近づきました。
井手町は京都府南部で、京都市と奈良市の間にある人口約7500人の町。以前は宿場町として栄え、人通りも多く活気がありました。しかし、少子高齢化・人口減少が進み、町内の飲食店も減りました。
室さんは同府亀岡市の出身です。高校卒業後、京都市内のホテルで10年間、洋食シェフを経験し、人気のイタリアンレストランの店舗拡大に携わりました。たまたま07年に家族で井手町を訪れ、里山の風景に圧倒されました。
「ここで自分の店を出したい」という強い思いで同年転入。町内のレストランでシェフをしながら空き町家を探すことにしました。同町には100年を経過した古民家が約350軒あるとみられます。
室さんは町内の行事にも積極的に参加しています。18年11月の町文化祭では、町の特産品「小町みそ」を使い、九条ネギなどを入れた「季節のやさ井手BURGER」を披露すると、行列ができるほどにぎわいました。
ですが、出店の熱意はなかなか伝わらず、適した町家があっても「よその人には貸せない」と断られたこともあります。それでも室さんは諦めずに、井手町などが関わる町家カフェの運営協力者に応募し、採用されました。朝食と昼食を週2回程度提供するだけですが、室さんは「ようやく踏み出していける。少しほっとした」と喜んでいます。
この記事は、全国商工会連合会が地域活性化のキーマンとなる若手経営者育成のため開催した「次世代地域リーダー塾」プログラムの中で、毎日新聞記者の指導を受けて作成されたもので、「地球の歩き方ニュース&レポート」でも掲載しました。
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