【ホノルル 旅の最新事情】ハワイのSDGsを在住者がレポート

公開日 : 2021年08月31日
最終更新 :
クアロア・ランチ
クアロア・ランチ

未知の国に憧れ、知的好奇心を満たすために、人は旅をしてきました。1492年にはコロンブスが新大陸を発見。その後数百年を経て、人々は大型客船で大陸間を行き来するようになり、1950年代には旅客機のジェット化で大量輸送時代の幕開けとなりました。ところが21世紀になると、旅行者の著しい増加がもたらす地域住民や自然観光へのマイナスの影響が問題視されるようになったのです。2015年頃からは「オーバーツーリズム」という言葉をよく耳にするようになり、良識ある旅行者によるレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)の重要性が問われる時代になりました。

マラマハワイからSDGsへ

マラマハワイからSDGsへ
クアロア・ランチ

ハワイ語には「思いやる、大切にする」という意味の「マラマ」という言葉があります。観光を主産業とするハワイ州では、ハワイの人々、自然、そして文化を思いやる心を大切にしようと、1976年から「マラマハワイ」というスローガンを掲げてきました。ハワイでは、40年も前からレスポンシブル・ツーリズムに取り組んできたというわけです。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)が2011年にホノルルで開催され、開催都市であるハワイでは2030年までに持続可能な社会目標の達成を目指す「ハワイグリーングロース」を設立しました。

そして2014年には、持続可能な社会目標の達成実現のための6つの取り組みを「アロハプラスチャレンジ」という社会目標として定めました。

国連総会で持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」が正式に採択
されたのは、翌年の2015年のことでした。

アロハプラスチャレンジ

アロハプラスチャレンジ
クアロア・ランチのクアロア・グロウン・マーケット

アロハプラスチャレンジでは、
• クリーンエネルギーへの転換
• 地元産の食料供給
• 天然資源の管理
• 固形廃棄物の削減
• 意識が高く持続可能なコミュニティ
• グリーンジョブ(緑の雇用)および環境教育
におけるハワイ州のゴールを設定しました。

アロハプラスチャレンジは、多岐にわたっていてハワイ州全土での取り組みになっています。

各ゴールの内容詳細や達成状況は、ハワイ州観光局公式ポータルサイトのページ(https://www.allhawaii.jp/article/3819/)に、掲載されているオンラインダッシュボードで確認することができます。

観光業とSDGs クアロア・ランチ

観光業とSDGs クアロア・ランチ
クアロア・ランチのタロイモ畑

アロハプラスチャレンジ達成のためには、ハワイ州としての取り組みも大切ですが、その取り組みを支えるのは、州内の事業主そして住民一人ひとりです。

オアフ島北東部に位置するクアロア・ランチでは、2019年にサスティナビリティへの取り組みを管理する人を新たに雇用しました。

「われわれの土地を守り、その歴史を讃えることで、人々の人生をより豊かにすること」を事業理念に掲げるクアロア・ランチでは、
• 地域社会
• 自然保護
• ハワイの文化
• 商業活動
を軸にサスティナビリティに取り組んでいます。

クアロア・ランチと地域社会

クアロア・ランチと地域社会
クアロア・ランチのクアロア・グロウン・マーケット

クアロア・ランチでは、畜産物や農産物を自然に優しい方法で育成および栽培しています。牛は広大な牧草地を自由に動き回って、穀物ではなく牧草のみを食べて育ち、「グラスフェッドビーフ(牧草飼育牛肉)」として食用になります。敷地内では牡蠣や海老の養殖、そして水耕栽培のタロやケールなどの野菜も栽培しています。

クアロア・ランチの畜産物や農産物は、2020年にオープンしたクアロア・グロウン・マーケットで販売しています。コロナ禍前はオアフ島内のレストランにも卸していたそうですが、今はここでしか買うことができません。ハワイの有名シェフも自ら足を運んで、買いに来るそうです。

クアロア・ランチには、地域の子供たちや学生が牧場や農地での仕事を実際に体験できる教育プログラムもあります。2020年からは、オンラインクラスやオンライン遠足、少人数グループでの見学なども始まりました。

また、地元コミュニティのチャリティ団体への寄付活動も行っています。

クアロア・ランチと自然保護

クアロア・ランチと自然保護
クアロア・ランチのモリイ・フィッシュポンド

4,000エーカー(東京ドーム333個分)もの敷地のクアロア・ランチは、映画ジュラシックパークの撮影にも使われたほど自然にあふれています。

その自然を守ろうと、クアロア・ランチではコアの植樹や在来植物の栽培に力を入れてきました。また、モリイ・フィッシュポンド(伝統的な養魚池)で養殖をしている牡蠣は池の濾過にも役立っているのです。

クアロア・ランチが所有するシークレット・アイランドには、サンゴ礁に無害な日焼け止めのディスペンサーを設置し、カネオヘ湾のサンゴ礁保全に努めています。

クアロア・ランチとハワイの文化

クアロア・ランチとハワイの文化
クアロア・ランチのタロイモ畑

2020年に170周年を迎えたクアロア・ランチでは、自然や土地と同じようにネイティブ・ハワイアンやパニオロ(ハワイのカウボーイ)の文化も大切にしてきました。

2.5エーカー(約1ヘクタール)あるタロイモ畑では、昔ながらの農法でタロイモを栽培し、ポイやハワイアンの伝統的菓子であるクーロロを作っています。その他にも、ハワイアンの主食であったウルの木も敷地内のあちこちで見かけます。

また、クロアラ・ランチでは、スタッフのためにハワイ語の教育も行っています。

クアロア・ランチと商業活動

クアロア・ランチと商業活動
クアロア・ランチの6人乗りオフロード車

クアロア・ランチでは、大自然の中で、さまざまなアクティビティを楽しむことができます。

例えば、2021年から始まったマラマ・エクスペリエンスでは、畑で泥んこになりながらタロイモの収穫をしたり、モリイ・フィッシュポンドで牡蠣の収穫をしたりとハワイの文化に触れることができます。

アロハアイナツアーでは、オープンエアーのトロリーで敷地内の牧場や農園、そして牡蠣や海老の養殖池などを見学します。

また、2020年からは1人乗りの四輪バギーではなく、6人乗りのオフロード車を使用しています。6人乗りのオフロード車の使用で二酸化炭素の排出量削減に成功しました。

ポノトラベラーになるために

ポノトラベラーになるために
クアロア・ランチ

ハワイ語の「ポノ」には、「善良、道徳的に正しいこと、幸福、道義をわきまえた」という意味があり、良識ある旅行者のことをポノトラベラーと呼んでいます。

ハワイの歴史や文化を理解し、ハワイの環境保護に協力して、ハワイに住む人々に協調できるようなポノトラベラーのみなさんが、ハワイを来訪できる日が早く来ることを願わずにはいられません。

■クアロア・ランチ
・住所: 49-560 Kamehameha Highway, Kaneohe, Hawaii 96744 USA
・営業時間: 7:30 – 16:30 
・定休日: 無休
・URL: https://www.kualoa.jp/

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

※当記事は、2021年8月24日現在のものです

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渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

ハワイ特派員

小嵜 有美

昭和、平成、令和にわたってホノルル暮らし。現在はフリーで編集者/ライターそしてハワイ企業の広報担当として活動中。ハワイの食ならお任せください!

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