【イギリス 旅の最新事情】ビクトリア様式が美しい世界最古の運営水族館のひとつ「シーライフ・ブライトン」を在住者がレポート

公開日 : 2021年09月30日
最終更新 :
潮風を感じるシーライフ・ブライトン水族館のエントランス
潮風を感じるシーライフ・ブライトン水族館のエントランス

古いものを慈しみ、世界最古の温室を持つ植物園「キューガーデン」などがあるイギリスは歴史的建造物であふれています。スポーツや文化の発祥地であることも多く、イングランド南東部にあるブライトンと言えば、有数の海浜リゾート地としてだけでなく、2015年にラグビー日本代表が南アフリカ代表を34-32で撃破し、世界中に衝撃を与えた「ブライトンの奇跡」を起こした町としても知られています。

「シーライフ・ブライトン水族館(SEA LIFE Brighton Aquarium)」は、これまた世界最古(諸説あり)の運営水族館として、同市の数ある観光施設のなかでもとりわけ目をひく存在です。同館の魅力を、現地の最新コロナ情報とともにお届けします。

水族館周辺、海沿いの光景

水族館周辺、海沿いの光景
乗り物を即座に消毒する遊園地のスタッフ

ブライトンの海沿いには「海上遊園地」やゲームセンター、飲食店が多数並ぶ桟橋「ブライトン・ピア」を先頭に、みやげもの屋、ミニゴルフやアスレチックのようなロープ遊具を楽しめる施設、観光案内所などがあり、観光客でにぎわっています。

海沿いをジョギングするランナーのほかに、幅広自転車専用道路のおかげでサイクリングも盛ん
海沿いをジョギングするランナーのほかに、幅広自転車専用道路のおかげでサイクリングも盛ん

シーライフ・ブライトン水族館は、その桟橋すぐ近くにあります。1年をとおして天気が不安定なイギリスにおいて、雨でも気にせず楽しめるインドアのスポットは観光プランを立てやすくおすすめです。

水族館の歴史と館内紹介

水族館の歴史と館内紹介
コロナ対策をお願いする看板が置かれている入口

世界最古(諸説あり)という呼び名のとおりシーライフ・ブライトン水族館の歴史は古く、創業は1872年です。建築は海辺に特化したデザインが得意な建築家、ユージニウス・バーチ(Eugenius Birch)氏によるもので、施設前のブライトン桟橋を設計したのも同氏です。

受付後に目にする水族館の年表展示コーナー
受付後に目にする水族館の年表展示コーナー

1869年に工事を始め、現代の価格にしておよそ£5500万をかけて完成した同館にはウミガメやサメ、ピラニア、タツノオトシゴなど、5500種類以上の海洋生物が展示されています。

規模としては決して大きくなく、以前はあったイルカとアシカのショーも現在運営している「シーライフ」が経営するようになった1991年に、世間から言われるようになった動物愛護の観点や施設の老朽化からとりやめになるなど、派手な要素はあまりありません。

人数制限のため、チケット購入はオンライン事前予約が望ましい
人数制限のため、チケット購入はオンライン事前予約が望ましい

干潮時に現れる砂底のくぼみ、潮だまりにいる地元の生物に焦点を当てるなど、来館者にとってより身近で親しみを持てる、アットホームな雰囲気の水族館です。

実際小1時間もあれば十分見て回ることができ、それぞれの生物の産地や生態などについて、説明書きを読みながらゆっくり学ぶことができます。特に飽きやすい小さな子供がいる家族連れにはピッタリのサイズで、空いた時間をほかの観光地巡りに利用することもできます。

目を見張るビクトリア様式のアーケード

目を見張るビクトリア様式のアーケード
豪華すぎるビクトリア様式の天井

コロナ以降、イギリスでは屋内施設に滞在する人数を調整するため、博物館や城内などの入館には事前予約が必須になって久しいです。こちらの水族館でも、当日券の販売はあるものの、混雑時に訪れた場合は空きがなく入れない場合もあるので、オンラインでの予約が望ましいと言えます。

受付でスマホ画面などの予約表を提示したあと、写真コーナーで専属スタッフに記念撮影をしてもらいます。このときにもらう紙が出口前で受け取る写真(オプション有料)の交換チケットになるので、なくさず保管しましょう。

いよいよ展示エリアに一歩踏み入ると……ブルーや紫など、七色にライトアップされた天井アーケードがとにかく目をひき、そこが水族館であることを一瞬忘れてしまうかのような圧巻の光景です。

お互い距離を取りながら進む来館客と館内カフェ
お互い距離を取りながら進む来館客と館内カフェ

ビクトリアン調とも呼ばれるこの建築様式は、その名のとおり、イギリスのビクトリア女王時代(1837~1901)の美術・工芸様式で、シーライフ・ブライトン水族館ではかつての栄光を蘇らせるため、2012年に一時閉館し修復工事をしました。

アリが葉っぱを運ぶ!?館内の見どころと海底トンネル型展示が魅力

アリが葉っぱを運ぶ!?館内の見どころと海底トンネル型展示が魅力
引き続きマスクでしっかりコロナ対策をする来館客

館内には珍しい生物やユニークな展示方など見どころが豊富にありますが、各コーナーに散らばる課題をこなしながら進む、子供用の「ミッション・パック(別料金)」は大人も一緒に学べてお得です。

ミッション・ポイントではスタッフがじっくり説明してくれるところも
ミッション・ポイントではスタッフがじっくり説明してくれるところも

熱帯雨林のコーナーでは熱帯魚に混じって、なぜかアリ、それも「leaf cutter ants」という自身の20倍もの重量の葉っぱをひたすら運ぶ姿があり、とても貴重な光景を目にすることができます。

アリがひたすら葉っぱを運ぶ不思議な光景
アリがひたすら葉っぱを運ぶ不思議な光景

昼夜の海を体験する「Day & Night Ocean Experience 」コーナーでは、まるでプラネタリウムのような星空とさざ波が広がる美しい映像が流されており、波が打ち寄せるさまは本物のようで、思わず足が濡れないよう跳びよけてしまいます。

また、あらゆる角度から海とその生き物を見られるよう、天井が水槽のドーム状になったトンネルなど、随所に工夫が施されています。こういった狭い空間の場合は、特に、他人との距離に気を配る来館客が多い印象でしたが、マスクの着用率については半々といった状況でした。

これは、2021年7月19日に、イングランドでのロックダウン規制がいったん解除されたことと、ワクチンの2回摂取を終えた人が増えたためではないかと思います。同じ家族内でも、マスクをしている人としていない人がいたのが印象的でした。

環境保全を促す「Conservation Cove」のコーナー
環境保全を促す「Conservation Cove」のコーナー

運営会社の「シーライフ」はイギリスだけでなく、日本にも名古屋で展開するなど世界中で水族館を運営する企業ですが、海洋保全にとても力を入れています。そのため、同館でも環境汚染や生態系に悪影響を与える代表格、ビニール袋の廃棄だけでなく、育毛剤や洗顔料、ツナ缶やフカヒレ・スープといった、誰にとっても身近な商品までもが関係してくることをイラストやゲーム形式でわかりやすく説明しています。

海の生き物シリーズがかわいいおみやげグッズ

海の生き物シリーズがかわいいおみやげグッズ
青色が目を引くシーライフ・グッズ

入館時に撮影してもらった写真を受け取るコーナーを抜けると、最後におみやげショップがあります。これまで館内で見てきた生き物のおさらいをするのにピッタリな、海の生き物をモチーフにしたマグカップやぬいぐるみ、海賊のコスチュームまでかわいい品物が揃っています。

コロナ対策の意味でカード払いがすっかり主流になったイギリス
コロナ対策の意味でカード払いがすっかり主流になったイギリス

水族館だけでなく、ブライトンと書かれた市全体の商品もあり、デザインも魅力的なので早々にブライトンみやげをこちらで買うのもおすすめです。

ロンドン中心部からは鉄道を使ってヴィクトリア駅から約51分、またはロンドン・ブリッジ駅から1時間弱で到着するブライトン市。乗り換えなしの直通1本なので、都心からのアクセスも抜群です。

宮殿前の庭園で、距離をとりながらピクニックを楽しむ人々
宮殿前の庭園で、距離をとりながらピクニックを楽しむ人々

シーライフ・ブライトン水族館のすぐ近くには、インド・イスラム風の外観がエキゾチックでかつて王室の別荘だったブライトン離宮などもあり、ほかにも見どころがたくさんです。コロナが落ち着き、イギリスへの観光目的の渡航が解禁された日にはぜひ訪れてほしい場所です。

■シーライフ・ブライトン水族館(SEA LIFE Brighton Aquarium)
・住所: Marine Parade, Brighton, East Sussex BN2 1TB イギリス
・営業時間: 10:00~16:00あるいは17:00
・入館料: 大人(15歳以上)£21.50、子供(3〜14歳まで)£17.50
・アクセス: ブライトン駅(Brighton)より徒歩20分
・URL: https://www.visitsealife.com/brighton/
※水族館の掲載写真はすべてSEA LIFE Brighton Aquariumの許可を得ています。

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

巻頭ページでは各地方の魅力をビジュアルで紹介し、体験してほしいテーマは厳選して詳しく解説。さらに世界遺産リストやイベントカレンダーも掲載しています。大観光都市ロンドンや、美しい自然が心を癒してくれるカントリーサイドを訪れる皆さんの「自分流の旅づくり」をとことん応援する一冊です。

※当記事は、2021年9月22日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。