【ドイツ・ライプツィヒ 旅の最新事情】2022年以降リニューアルオープン予定の由緒あるカフェを在住者がレポート

公開日 : 2021年08月10日
最終更新 :
改装前のカフェ・バウム概観
©Stadtgeschichtliches Museum Leipzig, Foto: Punctum Peter Franke
改装前のカフェ・バウム概観
©Stadtgeschichtliches Museum Leipzig, Foto: Punctum Peter Franke

東西の通商交差点であったライプツィヒは、早くからコーヒー文化が花開いた町でもあります。人々がコーヒー中毒になるほど好まれ、バッハも愛飲していたといわれています。そのためライプツィヒの歴史文化のなかにコーヒーやカフェが密接に関連しています。今も市内にはいくつかカフェがありますが、なかでも歴史の古いカフェ・バウムはドイツ最古で、ヨーロッパでも最も古いカフェのひとつに数えられます。今回はライプツィヒに来られたらぜひ行っていただきたいおすすめのカフェ・バウムをご紹介したいと思います。

バッハは、教会だけでなくライプツィヒのコーヒーハウスでも演奏会を行っていた!

バッハは、教会だけでなくライプツィヒのコーヒーハウスでも演奏会を行っていた!
トーマス教会の横にたたずむバッハ像
ツィンマーマン・コーヒーハウス跡地の建物入口にある記念プレート
ツィンマーマン・コーヒーハウス跡地の建物入口にある記念プレート

1723年からライプツィヒでトーマス教会の音楽監督として従事したヨハン・セバステァン・バッハも、コーヒーを愛飲していたといわれています。コーヒーの流行を題材としたバッハの作品『コーヒー・カンタータ』もライプツィヒで作曲されました。

また、バッハは1729年から1743年まで「コレギウム・ムジクム」という学生の演奏団体を率いて、「ツィンマーマン・コーヒーハウス」というカフェで毎週のように公開演奏を行っていました。神に捧げるために教会で演奏するだけでなく、コーヒーハウスにおいても演奏会を行っていたのです。このことは現在のゲヴァンドハウスオーケストラの伝統を導き、また現在の公開演奏会の重要な道しるべとなったといわれています。

このツィンマーマン・コーヒーハウスは、戦後崩壊し現存していませんが、マルクト広場に向かうカタリーナ通りに跡地があり、そこに建つ建物の入り口に記念のプレートがあります。このように、ライプツィヒとコーヒーハウスというものはバッハの時代においても密接な関係にありました。

コーヒータイムにおすすめ!ドイツ最古のカフェ「カフェ・バウム」

コーヒータイムにおすすめ!ドイツ最古のカフェ「カフェ・バウム」
入口のアラビア風の彫像

現存するライプツィヒのカフェで必見なのが「ツム・アラビッシュ・カフェ・バウムZum Arabische Coffe Baum(アラビアのコーヒーの樹)」。通称「カフェ・バウム」と呼ばれています。由緒ある建物が立ち並ぶライプツィヒの美しい旧市街にあり、1711年からコーヒーを提供していたとされる老舗。ドイツで最古、ヨーロッパでも最も古いカフェのひとつに数えられます。

バッハ、ゲーテ、ナポレオン、ワーグナーといった文化人や著名人が多く訪れ、なかでも新婚時代にライプツィヒに住んでいたシューマンは、常連客だったようです。そのシューマンがいつも座っていたとされるコーナーが現存し、空いていればそこに座って飲食することも可能です。また、建物の3・4階は、ザクセン州のコーヒー文化が紹介される博物館となっていますが、2021年7月現在は建物の改修に伴い閉館中となっています。

2022年/2023年にリニューアルオープン予定!

2022年/2023年にリニューアルオープン予定!
現在改修中のカフェ・バウム
由緒ある建物が立ち並ぶカフェ・バウム周辺の様子
由緒ある建物が立ち並ぶカフェ・バウム周辺の様子
所狭しとテーブルが並べられ、マルクト広場へと続く小路、バーフスガッセの様子
所狭しとテーブルが並べられ、マルクト広場へと続く小路、バーフスガッセの様子

カフェ・バウムの建物自体は少なくとも16世紀半に建てられたといわれていますので、築400年以上という古さ。90年代にかなり改修工事が施されたようですが、その後の老朽化も進み、かなり大掛かりな内部改装がさらに必要となり、数年前から改修工事が行われています。ちょうど新型コロナウイルス感染症によるロックダウンで、昨年来ドイツの飲食店は閉店を余儀なくされていましたから、タイミングとしては悪くなかったのかもしれません。新装開店の予定はまだはっきりとは決まってないようですが、早ければ2022年、もしくは2023年を目指しているようです。

ちなみに、カフェ・バウムのすぐ横の小路は、レストランの席がひしめき合うバーフスガッセと呼ばれるにぎやかな通りです。コロナによる規制措置のため、長い間飲食店の営業が禁止されていましたが、今では多くの人でにぎわう日常が戻ってきています。

ドイツではコロナのワクチン接種状況もよく、目下のところ国民の46%が2回目接種を終了しています。そのお陰もあってか、7月20日現在のライプツィヒでの新規感染者数は6人、直近7日間の人口10万人の新規感染者数は6.2となっています。少し前よりほんの少し上昇しているものの、規制が行われる基準となる数字、30を大幅に下回り、限りなく0に近くなっています。各州により少し状況はちがいますが、ライプツィヒの飲食店は目下のところ通常通りの営業が可能で、事前にコロナ陰性テストなどの制約もなくなりました。またマスクの着用義務についても各州で少し違いがあり、ライプツィヒでは屋内の商店での買い物時や公共交通機関利用時、博物館や教会などの屋内施設に入る際、そして人との距離がとれない業種(例えば美容室、医院など)では医療用マスクもしくはFFP2マスクの着用が義務付けられています。

ちなみに、5000人以上の人が集まる催しや、コンサートホールでは、入場して自分の席に着くまでは上記マスクの着用が必要ですが、着席後コンサート等が始まると、マスクを外して良いことになっています。

アフターコロナでライプツィヒに来られた際には、マルクト広場からこのにぎやかな小路、バーフスガッセを通ってカフェ・バウムに立ち寄られるのをおすすめします。老舗の伝統を残しつつ、素敵にリニューアルオープンするのではと今から大きな期待を寄せています。

■ Zum Arabische Coffe Baum(ツム・アラビシェ・カフェ・バウム、通称カフェ・バウム)
・住所: Kleine Fleischergasse 4, 04109 Leipzig
・アクセス: バス停Thomaskirche (バス89番)、SバーンMarkt駅(S1, S2, S3, S4, S5, S5X, S6)すぐ。中央駅から徒歩10分
・営業時間: 改装中のため未定

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

※当記事は、2021年7月20日現在のものです

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◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

ライプツィヒ特派員

シェーファー 玲子

2008年夏よりドイツ中東部の町ライプツィヒ在住。現在はライプツィヒにてフリーランスと主婦業に従事している。

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