【バンコク編の編集者が実地体験】タイ入出国とバンコクの町なかのリアル

公開日 : 2021年12月14日
最終更新 :
バックパッカーの姿が消えた昼のカオサン通り
バックパッカーの姿が消えた昼のカオサン通り

2021年11月1日からタイの入国規制が緩和され、条件を満たせば隔離免除で入国できることになりました。まだまだ数は少ないながら、各国からの旅行者がタイを訪れ始めています。11月上旬時点ではオミクロン株のニュースもなかったため、ならば自分も行くしかないと思い立ったタイ担当編集者。コロナ以前よりはやや面倒な手続きを経て現地に赴き実際に体験した、タイの入出国事情とバンコク市内の様子をお伝えします。

タイのコロナ感染状況

タイのコロナ感染状況
屋台でも感染対策済み認証の「SHA」ロゴがついていれば安心

まずはタイのコロナウイルス感染状況です。2021年12月9日朝の時点で、統計開始以来感染者数215万6587人、死者数2万1084人が報告されています。12月9日の速報値で、前日に確認された新規感染者数は4203人、死者は49人。感染者数、死者数ともに減少傾向にあります。ワクチンの接種状況は、12月9日時点で61.4%の人が必要回数の接種を完了しています(すべてタイ保健省のデータ)。比較的落ち着いた状況と言えるでしょう。

タイへの入国

タイへの入国
閑散とした成田空港のチェックインエリア

2021年12月9日現在、タイへ入国するには3種類のスキームがあり、それぞれ条件が異なります。ここでは筆者も利用した、最も一般的な「Test & Go(隔離免除入国)」での手続きを紹介します。隔離免除という名称ながら、到着最初の1泊は登録されたホテルに宿泊する必要があるため、実質的に1泊隔離となります。

Test & Goで入国する場合の条件は以下の通り。
・日本を含む63の指定国・リスト入り地域に連続して21日間以上滞在していること
・タイ政府が承認するワクチンを規定回数接種後14日以上経過していること
・到着日1泊分のSHA Extra Plus登録ホテルを予約すること
・新型コロナウイルス感染症および関連疾患の治療費5万米ドル以上を保障する保険に加入すること
・日本出発の72時間前以内にRT-PCR検査を受け陰性であること

出発前PCR検査は除き、上記条件を満たした上で、それらを証明する書類を用意し、Thailand Passを申請して入国許可証となるQRコードを受け取ります。申請は、Thailand Passのウェブサイトから行います。個人情報入力と下記書類5点の画像ファイルの添付が必要なので(JPEGやスクリーンショットのPNGファイル。PDFは不可)、用意しておきましょう。
1) 航空券
2) 到着初日1泊分のSHA Extra Plus(SHA ++)ホテル支払い済み予約確認書 *1
3) 新型コロナウイルス感染症および関連疾患の治療費5万米ドル以上を保障する保険の英文保険証書 *2
4) ワクチン接種証明書(英文併記。日本の自治体発行のものは有効)
5) パスポートの顔写真ページ
通常は申請から3〜7日ほどでQRコードがメールで届きます。同じ条件で申請しても承認される人とされない人が出たり、書類に問題がないのに不承認になったので同じ書類で再度申請したら承認されたケースもあるそうです。AIの判定にムラがあるようなので、早めに準備しましょう。

*1:SHA Extra Plus(SHA ++)とは、従業員の70%以上がワクチン接種済み、RT-PCR検査のため認定病院と提携して宿泊サービスを提供するホテル。これの登録ホテルで、最初の1泊、空港からホテルまで専用車でのトランスファー、到着後のRT-PCR検査込みの予約が必要。
*2:証書は英文のみではなく和文と英文併記でも可。保障額の換算額が5万米ドル以上であれば表記は日本円でも可。

Thailand PassのQRコードを入手したら、出発の72時間前以内にRT-PCR検査を受け、英文の陰性証明書を発行してもらいます。これで出発の用意ができました。

日本出国時、搭乗手続きの際に下記の書類を確認されるので、手元に用意しておきましょう。
・残存有効期限が6ヵ月以上あるパスポート
・観光目的で30日以内の滞在ならビザは不要
・航空券
・Thailand PassのQRコード(スクショかプリントアウト)
・英文が併記されたワクチン接種証明書(日本の自治体発行のもの。コピー可)
・到着初日1泊分と空港からのトランスファー、到着後のRT-PCR検査費用込みのSHA Extra Plus(SHA ++)登録ホテル支払い済み予約確認書
・新型コロナウイルス感染症および関連疾患の治療費5万米ドル以上を保障する保険の英文保険証書(プリントアウトかコピー可)
・出発の72時間前以内に受けたRT-PCR検査の英文陰性証明書(プリントアウト可)
旅行者の数が少ないため、書類のチェックに時間がかかるのを除けば、セキュリティチェックも出国審査も待ち時間ゼロです。

到着したらまず必要書類のチェックを受ける
到着したらまず必要書類のチェックを受ける

バンコクに到着したら、まず「Thailand Pass」のカウンターで必要書類が揃っているかチェックされます。機内で「T.8」と呼ばれる健康質問書が配られると聞いていましたが配布はなく、確認もされませんでした(通常は配布されるそうです)。また、「MorChana(モーチャナ)」と呼ばれる追跡アプリをスマホへインストールする必要があり、タイ到着から6〜7日目にATKキット(抗体検査キット。SHAホテルを予約するとホテルでもらえる)を使って自分で検査し結果をモーチャナで報告するとのことで、出発前にインストールしておきましたが、こちらの確認もなく、滞在が6日間だったので検査もしませんでした。

ここで問題がなければボーディングパスにチェック済みのステッカーを貼付され、入国審査へ進みます。途中の通路では体温計でのスクリーニングを行っており、体温の高い人はここで検査送りとなります。入国審査ではステッカーが貼られたボーディングパスとパスポートを提示。入国したら預け荷物の受け取り、税関審査を経て到着ロビーに出ます。そこにいる係員に予約ホテルの名称を告げると担当者が呼ばれ、専用車まで案内してくれます。日本の出国時と同様、書類のチェックに少し時間がかかったぐらいで、イミグレーションの行列がない分、普段よりもかなり早く入国できました。2010年5月に、暴徒化した反政府デモが武力鎮圧された騒ぎの直後に様子を見に訪れた際、どこもかしこもガラガラで着陸からホテル到着まで1時間しかかからなかったのを思い出しました。

すいすいとホテル到着。チェックイン後RT-PCR検査を受けると、結果が出るまで部屋から出られません。素泊まりで予約した場合は何か食べるものを持参しましょう。筆者は夜と朝2食付きのパッケージにしました。検査の結果が判明するのは翌日昼頃になると聞いていましたが、朝9時頃には電話で陰性を知らされたのですぐチェックアウト。1年10ヵ月ぶりのバンコク市内へと飛び出しました。到着時間が遅いと検査が翌朝になり、結果が判明する夕方か夜までホテルに滞在することになるそうです。

街なかの様子

街なかの様子
衝撃的に閑散としているMBK(マーブンクロンセンター)

自由の身になって最初に足を運んだのは、常に大勢の外国人旅行者で賑わっていたMBK(マーブンクロンセンター)。その内部が、かつて目にしたことのない状態になっていて衝撃を受けました。どこもかしこもぎっしりとショップで埋まっていたビル内に、広大な空きスペースがあるのです。特に雑貨やTシャツなどお土産系のショップはほぼ消滅していました。

別の日に訪れたカオサン通りは、バックパッカーどころか人の姿がほとんどありません。今しか見られない光景でしょう(と祈ります)。週末の夜にはタイの若者が集ってパブやバーが賑わうそうなので、少しは以前の雰囲気が味わえるかもしれません。

アジアティーク・ザ・リバーフロントは結構な人出
アジアティーク・ザ・リバーフロントは結構な人出

一時期は店内での飲食が禁止され、持ち帰りのみ許されていた飲食店も、通常に近い営業に戻っています。酒類の提供が禁止から21時まで可となり、筆者の到着翌日に23時まで可と繰り下げられたのも大変な朗報でした。

いかにも旅行者らしい外国人はたまに見かける程度、旅行者の多かったエリアは残念ながら閑散としています。それでも週末の夜に足を運んだ某高級ショッピングモールの飲食店街は、結構な人出で賑やかでした。地元の人達の賑わいは戻りつつあるようです。そしてよく見れば多くの人が店内よりも屋外の席を積極的に選んでおり、感染対策にも注意している様子。

バンコクでは公共の場所でのマスク着用が義務化されているため、着用率はほぼ100%。違反には最高で2万バーツ(約7万円)の罰金もあります。大型のショッピングモールやデパート、BTSやMRTなど鉄道の駅、ホテル、ショップ、レストランなどは、入口に設置された体温計で検温が求められます。

SHA認証のロゴと検温器を設置したレストランの入口
SHA認証のロゴと検温器を設置したレストランの入口

タイ到着後最初に1泊するホテルに必要な「SHA(SHA: Amazing Thailand Safety & Health Administration アメージングタイランド健康安全基準)」登録とは、タイの政府観光庁、観光スポーツ庁、保健省などが合同で立ち上げた衛生基準の認証制度。ホテルやレストラン、ショップなど業種ごとに安全基準を定め、認定されるとロゴを掲示できます。マスク着用と手洗いの励行、人混みは避けてSHAのロゴを目印に行動すれば、ある程度の安心感は得られるのではないでしょうか。

タイ→日本への再入国

タイ→日本への再入国
人も少ないタイ国際航空のチェックイン・カウンター

帰国便のチェックインの際、パスポートと航空券以外に、日本入国に際して必要な下記の書類が揃っているかどうか確認されるので、手元に用意しておきましょう。
1)RT-PCR検査の陰性証明書
出発の72時間前以内にRT-PCR検査を受け、日本の厚生労働省指定の書式で発行されたもの。検査方法や結果に何ひとつ問題がなくても、書式が厚労省指定のものでなければ不可です。陰性かどうかだけでなく、書式も重要なのでご注意。バンコクにある日本人利用が多い病院ならたいてい対応しています。
2)誓約書
バンコクでの搭乗手続き時に用紙をもらえますが、厚労省のウェブサイトからもダウンロードできるので、日本を出発する前に用意しておけば安心で手間もかかりません。
3)ワクチン接種証明書(英文併記。日本の自治体発行のものは有効。コピー可)
提示するだけなのにスキャンしたデータは不可で、現物が必要です。

書類に問題さえなければ、チェックイン及びセキュリティチェック、出国審査は普段通り。利用者が少ないので、短時間で通過できます。なおチェックインの際に、帰国後に提出する検疫の「質問票」と「健康カード」を紙で渡されます。搭乗までに記入しておきましょう。作業はまだあります。厚労省のウェブ上で、滞在歴や健康状態に関する「質問票」(チェックイン時に紙で渡される「質問票」とは別)に回答し、QRコードを取得します。このQRコードは帰国時に検疫官に提示します。日本到着後でも回答できますが、出発前にバンコクの空港内などで済ませておけばスムースです。座席番号の記入が必要なので、チェックイン後に行いましょう。

タイ同様到着したら通路で書類のチェック。違いは書類の多さ
タイ同様到着したら通路で書類のチェック。違いは書類の多さ

日本に到着すると、流れ作業的に下記の手続きを行います(成田の場合)。
降機後、通路に並べられてた椅子に座って必要書類のチェックを受けます。
 ↓
次のカウンターに移動し、日本のワクチン接種証明書とタイで取得した陰性証明書を提示し、チェックインの際に渡された検疫の質問票を提出します。抗原検査のキットをもらい、キットと同じ番号が記載されたステッカーがパスポートに貼付されます。
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1人用に仕切られた検体採取ブースに移動し、キットに唾液を採取して係員に手渡します。検査前30分以内は飲食禁止なので、着陸間際に水など飲まないように注意しましょう。不備が発覚すると再検査となり、時間がかかります。
 ↓
次のカウンターへ移動し、誓約書を提出します。ウェブ上で回答した質問票のQRコード(スマホやラップトップの画面で可)とパスポートを提示、さらにスマホへの下記アプリのインストールが確認され、使い方のレクチャーを受けます(スマホ非所持者は自費レンタルが必要)。日本を出発する前にインストールと登録を済ませておくと、話が早いです。
・MySOS:位置情報及び健康状態を報告。帰宅後にログインして待機場所を登録
・COCOA:新型コロナウイルス感染症感染者や接触者と接触した可能性について通知
・GoogleMaps:位置情報を記録←通常は搭載済み
以上終了後は検査の結果待ち。結果が判明した順に、パスポートに貼付されたステッカーの番号で呼ばれます。陰性なら日付スタンプが押された証明の紙を手渡されるので、検疫のカウンターでそれを提示し入国審査へ進みます。そして預け荷物の受け取り、税関検査を経て、外へ出られます。長いと3時間ほどかかるとのことでしたが、1時間30分で出られました。

ヤオワラートの屋台はそこそこの賑わい
ヤオワラートの屋台はそこそこの賑わい

ツーリストエリアはだいぶ寂しい状態ながら、地元の人が多い下町はそこそこ賑わっています。夜間外出禁止令は撤廃され、乗り物もほぼ通常通りの運行です。日本とタイそれぞれの出入国に必要な書類を揃えるのもそれほど手間ではありません。トータルで3回受けるPCR検査の出費は痛いですが、行けるものならまたすぐにでもバンコクへ行きたいぐらいです。ただ、これから14日間の自宅待機が思っていたよりも辛い場合、自宅待機が明けるころにも同じ気持ちを持てているかどうか、ちょっと自信がありません。

日本、タイともに出入国の条件は変更される可能性がありますので、実際に行かれる方は必ず最新の情報をご確認ください。

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■【バンコク編の編集者が実地体験】コロナ禍で変わったもの変わらないものとは?現地最新情報をレポート!
・URL:  https://news.arukikata.co.jp/column/sightseeing/Asia/Thailand/BANGKOK/146_805955_1639717965.html?w=146

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

やっぱりタイはおもしろい! バンコクで絶対やりたい15のことをピックアップ。必食グルメに買い物、インスタ画像もゲットできる最旬プランから、大ブームのナイトマーケットにパワースポット、人気エリアのディープな町歩きまで、タイを体感できる最強ガイドです。スパ&マッサージ、おみやげの最新情報も満載!

※当記事は、2021年12月9日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2021年12月9日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

TEXT: 『地球の歩き方ガイドブック バンコク』編集担当 編集工房緑屋 水野 純
PHOTO: 水野 純

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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