大阪ミナミから歩いて行ける!懐かしすぎる秘境電車を発見

公開日 : 2018年02月01日
最終更新 :
昭和30年代作成の路線図が目を引く改札
昭和30年代作成の路線図が目を引く改札

 ミナミといえば、キタと並ぶ大阪の繁華街です。その中心のなんばから歩いて十数分のところに、昭和の香りが漂う鉄道が走っているのをご存知でしょうか。遺産と言っても過言ではない、その名は南海電鉄汐見橋線。電車は30分に1本、「秘境駅」もある、ディープな世界にいざ出発!

汐見橋駅から始まる昭和の旅 都会の喧騒を忘れさせてくれる秘境電車

汐見橋駅から始まる昭和の旅 都会の喧騒を忘れさせてくれる秘境電車
白い駅舎の中は昭和の懐かしさがあふれる

 なんばから歩いて十数分。半信半疑で歩いて行くと、交差点の片隅に白く質素な建物が目に入りました。これこそ、目指す汐見橋駅!一歩足を踏み入れると、驚きました。高い天井に、狭い改札。なかなか都会では見かけない雰囲気です。正面には古びた路線図が掲げられています。なんと、半世紀以上前のもの!今はなき、「大阪球場」の文字を発見しました。
 明治33(1900)年開業。かつては高野山方面への列車も発着していたそうです。御年115歳を迎える今でこそ、のんびり「セカンドライフ」を送っているようなこの駅も、ターミナル駅として大勢の利用客がいたのです。その面影はホームにもなく、のんびりとした、たたずまい。木製のベンチやレールを利用した支柱など、これぞ「もったいない」精神の鑑!と言いたくなるような、どこを切り取っても画になる独特の雰囲気です。30分に1回やって来る電車は、高野山方面や和歌山方面に乗り換えられる岸里玉出と汐見橋を結んでいます。汐見橋線、わずか10分の旅ですが、途中の駅もいい味、出しているんです!

2両編成の電車が岸里玉出とを約10分で結ぶ
2両編成の電車が岸里玉出とを約10分で結ぶ

■汐見橋駅(南海電鉄)
・住所: 〒556-0022 大阪市浪速区桜川3丁目8-74
・URL: http://www.nankai.co.jp/traffic/station/shiomibashi.html

秘境駅の呼び声高い木津川駅 本当に大阪市ですか?

秘境駅の呼び声高い木津川駅 本当に大阪市ですか?
「秘境駅」ともいわれる木津川駅

 1日の利用客が100人以下!周辺は工業地帯で、昔は貨物列車が行き交い、ずいぶんにぎわった駅だそうです。しかし、電車を降りて自動改札を出ると…草むらとフェンス、そして高速道路など、味気ない風景が広がっています。電車以外の公共交通機関が少なく、辿りつくのが難しい駅を「秘境駅」と呼び、木津川駅も鉄道ファンの中で話題になっているそうです。しかし駅舎をよく見ると、丸みを帯びたデザイン。建設当時はしゃれていて目立ったのは想像に難くありません。たまたま、近所に住んでいるという男性が話しかけてくれ、「僕らが子どものころのまんまやから、残してほしいんやけどね」と。どんなに小さくて古びていても、思い出に残るのが駅なんだな、なんて、しみじみしました。夕陽を浴びながら、電車に乗って次の駅へ。

貨物列車が行き交った名残で敷地は広い
貨物列車が行き交った名残で敷地は広い

■木津川駅(南海電鉄)
・住所: 〒557-0061 大阪市西成区北津守1丁目8-67
・URL: http://www.nankai.co.jp/traffic/station/kizugawa.html

街全体がノスタルジック 子どもの歓声響く西天下茶屋駅

街全体がノスタルジック 子どもの歓声響く西天下茶屋駅
下町らしさがあふれる西天下茶屋駅

 木製の白いベンチが特徴的なホームの西天下茶屋駅。こちらの駅舎も小さいながら、屋根や窓の形などデザインが凝っています。駅と周辺の住宅の距離が近く、生活感にあふれているのは木津川駅とは対照的です。そばには小さな公園があり、無邪気な子どもたちの歓声が響いていました。駅の南側にある商店街はNHKの朝ドラの舞台になったとか。汐見橋線沿線で最も昭和らしさを感じられるのは、この駅周辺かもしれません。もう少し、昭和の香に浸りたかったのですが、日暮れが迫っていたので、次の電車で駅を後にしました。

この駅もデザインに凝っていることがうかがえる
この駅もデザインに凝っていることがうかがえる
白いベンチが特徴のホーム
白いベンチが特徴のホーム

■西天下茶屋駅(南海電鉄)
・住所: 〒557-0051 大阪市西成区橘3丁目3-23
・URL: http://www.nankai.co.jp/traffic/station/nishitengachaya.html

 大学時代を大阪で過ごした私も初めて乗った汐見橋線。都会のど真ん中に、2両編成の電車が30分に1本しか走らない路線が、21世紀の現代に残っているのは奇跡としか言いようがありません。噂には聞いていたのですが、乗ってみると予想以上の昭和らしさに驚き、そして懐かしさを感じました。新線の計画があり、存続されるか流動的という話も聞きます。動く鉄道遺産をぜひ、体験してみてください!

記事:西村正行
※本記事は、「日本の歩き方」内、「おでかけガイド」に2015年1月24日に掲載されたものです。

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