フランス北部ルーベの「ラピシーヌ工芸美術館」がスケールアップして2018年秋リオープン
フランス北部の街ルーベの「ラピシーヌ工芸美術館」は、元市営プールのあった建物を改装してできたユニークな美術館です。増築のため、半年閉館していましたが、去る2018年10月20日(土)にリオープンしました。今回は装いも新たになった「ラピシーヌ工芸美術館」を紹介します。
アールデコの光が照らす彫刻の森
フランス北部の街ルーベに美術館が生まれたのは1835年のこと。最初は市庁舎にあったこのこの美術館が、現在の場所である元市営プールの建物に移ったのは、2001年10月のことでした。
それに先駆けて、4年にわたる大掛かりな改築を指揮したのは、建築家ジャン=ポール・フィリポンです。それにより生まれた「ラピシーヌ工芸美術館」。アールデコ調の内装を生かし、プールサイドに並ぶ彫刻を、ステンドグラスを通した光が照らすさまは、見学者をひきつけて止まぬ場所となりました。
大規模な美術館にはない、作品と密に接することのできるスペースが人気で、毎年三回企画される特別展にもヒットが多く、リピーターの多い美術館として知られていました。
通算18ヵ月に及ぶ増築工事
反面、人気が高まれば高まるほど、手狭になってきたのも事実で、入場ための行列も絶えない状態に。オープンから15年以上を経て、増築改装に踏み切ることとなりました。閉館していたのは2018年4月からの半年間ですが、工事自体は2016年から始まっており、通算18ヵ月におよぶ大掛かりな増築工事でした。
実は、今回の増改築の指揮を執ったのも、ジャン=ポール・フィリポンでしたから、元の魅力を損なわない仕上がりが期待できます。
一段と広くなった展示スペース
これにより総面積8,000平方メートルと、2,300平方メートルも広くなりました。元のスペースの改装に加えて、新しく増築されたのは、北東部分と南西部分です。北東の増築部分には、ルーベの歴史に関する展示と19-20世紀彫刻の部屋、また特別展用の会場が置かれます。南西部分には、アトリエ用のスペースや布地ライブラリが置かれます。
リオープンの特別展
ぜいたくなことに、リオープンの特別展はなんと5本立て。いずれも会期は、2018年10月20日(土)から2019年1月20日(日)までとなっています。
南仏セート出身のエルヴェ・ディ・ロザ(Hervé Di Rosa)展では、地理的文化的垣根をすべて取り払った眼差しで物事を捉える同氏のアートを紹介します。
また、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の『羊を持った男(L’homme au mouton)』をめぐり、その作品の生まれた背景を掘り下げる展示や、アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)の『ロル・タンギー(Rol Tanguy)』像製作の過程を追って、作者の政治的傾向を探る展示が行われます。
いかがでしたか。さらに魅力的になったルーベの「ラピシーヌ工芸美術館」。美術品と建物との対話を聞きに、リオープンした美術館へ足を運んでみませんか。
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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