南仏の良さが手の届く範囲にぎゅっと詰まった港町アンティーブで海と芸術と食を堪能

公開日 : 2022年04月01日
最終更新 :
小さな小径が入り組む旧市街
小さな小径が入り組む旧市街

地中海に面した南仏コートダジュール。その中でも特に有名な町と言えばニースとカンヌですが、その間に位置する、きらりと光るアンティーブという場所があります。ピカソなども滞在した同地の魅力を、アンティーブ・ジュアン・レ・バン観光局のセレクションでご紹介します。

高級かつ開かれたバランスの良い保養地

高級かつ開かれたバランスの良い保養地
アンティーブのヴェルダン港

ニースやカンヌといった典型的な観光地と異なり、アンティーブは単に見て回るだけの場所として成り立っていません。ここは暮らす保養地です。「アンティーブは、ここに生活がある町。他のリゾート地と比べて実際に暮らしている人が多いです。地価もフランス国内でもトップクラスで、1平米あたりがパリ並みの物件もあります」とアンティーブ・ジュアン・レ・バン観光局のロール・ペルティエさんは言います。

アンティーブは「海」「食」「芸術」が揃います。富裕層だけに向けた閉じた雰囲気はなく、大型クルーズ船などが寄港するため外に開かれていて、オープンマインドさを併せ持っています。

アミラル・ド・グラス通り
アミラル・ド・グラス通り

港近くのアミラル・ド・グラス通りは、その典型。この通りの片側はバーやパブが立ち並び、帰港したクルーズ船から降りた英語圏や北欧の人々が多く訪れるため、ここで交わされる主要言語は英語です。通りのもう片側はアーティストの工房になっていて、器やガラス細工などのアトリエが軒を連ねています。販売の他に体験教室を開催している工房もあります。

ピカソ美術館と旧市街の絶品スイーツ

ピカソ美術館と旧市街の絶品スイーツ
ピカソ美術館があるグリマルティ城

ではペルティエさんと順にアンティーブのスポットを現地で見ていきましょう。

まず押さえておきたいスポットが、海沿いに建つグリマルティ城を用いたピカソ美術館。1946年にピカソがこの城に滞在した時に制作した作品のほか、ニコラ・ド・スタールの絵画、リシエの彫刻など現代美術が多数収蔵されています。

ピカソ美術館の館内
ピカソ美術館の館内

ピカソ美術館は旧市街に位置していて、周囲は起伏ある土地に昔ながらの入り組んだ小径が縦横に走っています。

その旧市街の中、サフラニエ広場にはペルティエさんおすすめのパティスリー「リリアン・ボンヌフォア」があります(この店舗以外にもアンティーブ内にもう1店舗あり)。このお店のスペシャリテはパリ・ブレスト。パイ生地にアーモンド風味のクリームを挟んだ、フランスでは定番のケーキです。

ちなみにパリ・ブレストは、1891年に開催された自転車レース「パリ・ブレスト・パリ」を機に考案されたため、この名前が付けられています。

リリアン・ボンヌフォアの外観
リリアン・ボンヌフォアの外観
スペシャリテのパリ・ブレスト
スペシャリテのパリ・ブレスト

カフェスペースもあるため、気候の良い時期や晴れた日は、朝食やランチを楽しんでも良いですね。風に乗って波の音も聞こえてきます。

■Lilian Bonnefoi(リリアン・ボンヌフォア)
住所: 2 Place du Safranier 06600 Antibes
URL: https://lilianbonnefoi.com/

ペルティエさんは、おすすめのパン屋さんも紹介してくれました。「ブーランジェリー・ヴェジアノ」です。

工房でパンをこねるヴェジアノさん
工房でパンをこねるヴェジアノさん

店主のジャン・ポール・ヴェジアノさんは、フランスを代表する料理人、アラン・デュカス氏などとも仕事をする凄腕の職人。ヴェジアノさんのスペシャリテの一つ、タマネギとオリーブのピサラディエールなど、ぜひ試してみてください。

試食で提供してもらったピサラディエール
試食で提供してもらったピサラディエール

■Boulangerie Veziano(ブーランジェリー・ヴェジアノ)
住所: 2 Rue de la Pompe 06600 Antibes
URL: https://www.facebook.com/pages/Boulangerie-Veziano/156076661084250

アブサンと全天候型マルシェ、ミシュラン1つ星グルメを堪能

アブサンと全天候型マルシェ、ミシュラン1つ星グルメを堪能
アンティーブの屋根付きマルシェ

小道からマセナ広場に出ると、そこにはマルシェ(市場)が立っています。屋根付きとなっており雨天でも気兼ねなく買い物ができます。週末には多くの買い物客で賑わいます。

市場のすぐ隣には「アブサン・バー」があります。お酒や芸術に少し詳しい人なら知っているかもしれません。アブサンとはニガヨモギなどを用いたハーブのリキュールのことです。

バーは地下にあり、ここでアブサンを飲める
バーは地下にあり、ここでアブサンを飲める

ニガヨモギの香味成分であるツジョンには、幻覚などの向精神作用があり、かつては各国で禁止されていました。画家のロートレック、ゴッホ、詩人ヴェルレーヌなど、かつて多くの中毒者を出しました。ただし現在売られているアブサンは、ツジョンの残存許容量が低く押さえられているもののみ。そのため飲んでも、以前のようなことはありません。

アルコール度数が低くても40度はあるアブサンは、そのまま飲まず、水と砂糖で割ります。まずアブサンが入ったグラスの上に、角砂糖を乗せたスプーンを渡し、その上から冷えた水を滴り落とし、砂糖が溶け一定量まで水が落ちたら、グラスを口に運びます。

角砂糖を溶かしアブサンと混ぜている様子
角砂糖を溶かしアブサンと混ぜている様子

■Absinthe Bar(アブサン・バー)
住所: 25 Cr Masséna 06600 Antibes
URL: https://www.facebook.com/AbsintheAntibes/

アンティーブ滞在中はマルシェで普段の買い物をしたり、美味しいパンやスイーツを頬張ったり、時にアブサンあおったりしても楽しいですが、特別な日には特別な食事で過ごしてもいいかもしれません。ミシュラン1つ星のレストラン「ル・フィギエ・ド・サン・テスプリ」に行ってみましょう。

ル・フィギエ・ド・サン・テスプリ外観
ル・フィギエ・ド・サン・テスプリ外観

シェフのクリスチャン・モリセット氏が作り出す料理の数々は、アンティーブの特別な滞在をさらに素敵なものに昇華させてくれます。

味覚だけでなく視覚からも楽しませてくれる料理
味覚だけでなく視覚からも楽しませてくれる料理
シェフのクリスチャン・モリセット氏
シェフのクリスチャン・モリセット氏

■Le Figuier De Saint Esprit(ル・フィギエ・ド・サン・テスプリ)
住所: 14 Rue du Saint-Esprit 06600 Antibes
URL: https://www.restaurant-figuier-saint-esprit.fr/


今までの旅行スタイルから多くのことが変わるアフターコロナのツーリズム。アンティーブ滞在でゆっくりとコートダジュールの風を感じてみませんか。

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

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『地球の歩き方 ガイドブック A07 パリ&近郊の町 2021年~2022年版』

2021~22年度版では、パリの最旬トピックスや、賢くお得に旅するためのモデルプラン、ますます進化中のパンなどを大特集! エリア別ガイドでは、観光名所だけでなく治安情報やフォトジェニックスポットもわかりやすくご紹介。ヴェルサイユやモン・サン・ミッシェルなど郊外への旅はページを増やしてさらに詳しく!

『地球の歩き方 ガイドブック A07 パリ&近郊の町 2021年~2022年版』
■URL: https://hon.gakken.jp/book/2080127200

※当記事は、2022年3月29日現在のものです。

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年3月29日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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