ハノイの歩き方~新旧が隣り合い融合する政治と文化の中心地へ!

公開日 : 2020年07月09日
最終更新 :
しっとりとした古都の趣が感じられるハノイ
しっとりとした古都の趣が感じられるハノイ

ベトナムの首都ハノイは、約1000年の歴史を持つ古都。古い町並みが残るハノイ旧市街や古刹、フレンチコロニアルの町並みとともに、最先端のブティックや高級ホテルが立ち並ぶ、新旧、東西が融合した雰囲気が何とも魅力的です。

【はじめに】2020年7月8日現在、観光目的の海外渡航はまだ難しい状況です。『地球の歩き方ニュース&レポート』では、昨今の世界情勢をふまえ観光地情報の発信を抑制してきました。しかし、2020年5月31日で「期間限定の電子書籍読み放題サービス」が終了したこともあり「近い将来に旅したい場所」として、世界の現地観光記事の発信を2020年6月以降、再開することにいたしました。

世界各地のまだ行ったことのない、あるいは再び訪れたい旅先の詳しい情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス禍収束後は、ぜひ旅にお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを、心より願っています。

ハノイってどんなところ?

ハノイってどんなところ?
フランス統治時代の1911年に建てられたコロニアル建築の市劇場

南北に細長いベトナムの北部に位置するハノイは、人口約805万人(2019年)を抱えるベトナムの首都です。日本からは直行便が就航していて、成田、羽田、中部の各国際空港からは約6時間、関西国際空港からは約5時間、福岡国際空港からは約4時間40分でアクセスすることができます。

南のホーチミン市が商業の中心ならば、こちらは政治・文化の中心都市といえるでしょう。11世紀に首都タンロン(昇龍)がおかれて以来、約1000年の歴史をもつ古都にふさわしく、由緒ある寺院が多く見られます。その一方で、フランス統治時代に建てられた洋館や教会も多く残されていて、コロニアルな風情を感じることもできます。整然と走る美しい並木の道路、点在する湖や公園。道行く人々の表情もどこか穏やかな感じで、町全体に落ち着いた雰囲気が漂っています。

ドイモイ政策にともなう経済改革では、ホーチミン市に一歩リードされているようですが、ハノイも負けてはいません。町なかのビルはどんどん建て替えられ、人々の服装もオシャレに、そしてバイクや高級車の数が急増しています。特に南西部のミーディン地区、カウザイ地区には近代的な高層ビルが続々と建ち、ハノイの新都心となりつつあります。

ハノイはハロン湾やニンビンといった世界遺産への日帰り観光の拠点でもあります。また、少数民族が多く住むサパや、伝統文化村のバッチャンなどへの拠点としても注目され、外国人観光客も年々増加しています。

ハノイの気温・服装

ハノイの気温・服装
アオザイはベトナムの風土に合った民族衣装 ©iStock

ハノイを含むベトナム北部は亜熱帯気候に属し、日本ほどの明確な差異はありませんが四季があります。ベストシーズンは3~4月の春と、10~11月の秋といえるでしょう。5~9月下旬の夏は、ほぼ毎日短時間の激しいスコールに見舞われ、気温も上昇します。
特に6~8月の「猛暑期」は、連日最高気温が30℃を超え、湿度も90%近くなり、まるでサウナのような蒸し暑さです。12~2月の冬は最低気温が10度以下になり、霧雨も多く肌寒い日が続きます。冬は薄手のダウンが必要ですが、それ以外の季節は、日本の夏~秋の服装でよいでしょう。

おすすめ観光スポット

おすすめ観光スポット
ハノイ市街の中心に位置する人々の憩いの場、ホアンキエム湖 ©iStock

●ハノイ旧市街 Hanoi Old Quarter
11世紀、リー(李)王朝の城下町として栄えた旧市街は保存地域に指定されていて、お菓子屋通り、漢方薬通り、金物屋通りなど、個性豊かな路地が入り組み、古い町並みが残っています。気になったお店をのぞいたり、路上のB級グルメを食べつつ、町歩きを楽しんでみてください。

ホアンキエム湖の北側一帯にハノイ旧市街が広がっている
ホアンキエム湖の北側一帯にハノイ旧市街が広がっている

●ホーチミン廟 Ho Chi Minh Mausoleum(Lăng Chủ Tịch Hồ Chí Minh)
厳かな雰囲気が漂う廟内には、ベトナム建国の父、ホーチミンの遺体がガラスケースに入れられて安置されています。毎日ベトナム全土から多くの人々が参拝に訪れるので、朝一番に訪れるのがよいでしょう。

・住所: 17 Ngọc Hà, Q. Ba Đình, Q. Hoàn Kiếm, Hà Nội 
・開館時間: 4~10月:7:30~10:30(土・日曜、祝日〜11:00)、11~3月:8:00~11:00(土・日曜、祝日〜11:30)
・休館日: 月曜・金曜、メンテナンスのため、毎年6/15〜8/15は休館。元日、旧正月の元日、国慶節、5/19は月・金曜でも開館
・入場料: 無料
・URL: https://www.bqllang.gov.vn/

総大理石造りの廟は、ハスの花をかたどっている ©iStock
総大理石造りの廟は、ハスの花をかたどっている ©iStock

●ハノイ大教会 St. Joseph's Cathedral(Nhà Thờ Lớn Hà Nội)
ハノイ最大の教会であるハノイ大教会は、1886年、仏教寺院の跡地に建立され、その後、1900年初頭に現在のふたつの尖塔を有するネオゴシック様式に改築されました。ミサの時間のみ内部に入ることができ、美しいステンドグラスを鑑賞することができます。

・住所: Nhà Thờ, Q. Hoàn Kiếm, Hà Nội 
・開館時間: 5:00~11:00、14:00~19:30 
・休館日: 無休 
・入場料: 無料

石材を使用して建てられている。夜はライトアップされる
石材を使用して建てられている。夜はライトアップされる

●水上人形劇 Water Puppetry(Múa Rối Nước)
水面を舞台に繰り広げられる水上人形劇はベトナムの伝統芸能です。民話、習慣、伝統に基づいた短編が、伝統楽器の調べにのせて、人形によってテンポよく綴られていきます。1956年、ホーチミンによって建てられたタンロン水上人形劇場では毎日6回上演されています。

■ タンロン水上人形劇場 Thang Long Water Puppetry Theatre(Nhà Hát Múa Rối Thăng Long)
・住所: 57B Đinh Tiên Hoàng, Q. Hoàn Kiếm, Hà Nội 
・ショーの時間: 15:00、16:10、17:20、18:30、20:00、21:15(水曜は9:15の回もある) 
・休館日: 無休 
・入場料: 10万ドン~
・URL: http://thanglongwaterpuppet.com/

ハノイを代表するエンターテインメントとして大人気
ハノイを代表するエンターテインメントとして大人気

●タンロン遺跡 Imperial Citadel of Thang Long(Di Tích Hoàng Thành Thăng Long)
リー王朝時代のタンロン城跡と、グエン王朝時代のハノイ城跡を合わせたエリアが、タンロン遺跡として世界遺産に登録されています。ハノイ城の正門であるドアン門(端門)や、リー朝、チャン朝時代の建築の遺構や宝物などが発掘されたホアンジエウ18番遺跡などが残る、かつての都の匂いを感じられる貴重な場所といえるでしょう。

・住所: 9 Hoàng Diệu, Q. Ba Đình, Hanoi 
・開館時間: 8:00~17:00 
・休館日: 月曜 
・入場料: 3万ドン、15歳以下は無料
・URL: 

ドアン門の楼閣に上って遺跡を見下ろすことができる
ドアン門の楼閣に上って遺跡を見下ろすことができる

●文廟 Temple Of Literature(Văn Miếu)
1070年、孔子を祀るために建立された廟で、1076年には、境内にベトナムで最初の大学が開設され、1779年までの約700年の間に数多くの学者や政治指導者を輩出しました。こうした歴史から、学業祈願に参拝する人が多い場所です。

・住所: 58 Quốc Tử Giám ,Q. Ba Đình, Hanoi 
・開館時間: 夏季:7:30~18:00、冬季:8:00~17:30 
・休館日: 無休 
・入場料: 3万ドン、15歳以下は無料
・URL: http://vanmieu.gov.vn/vi/

グエン王朝時代にできたクエ・ヴァン・カックは10万ドン札に描かれている
グエン王朝時代にできたクエ・ヴァン・カックは10万ドン札に描かれている

ハノイから日帰りで行ける郊外観光スポット

ハノイから日帰りで行ける郊外観光スポット
北部観光のハイライトともいえるハロン湾 ©iStock

●ハロン湾 Ha Long Bay(Vịnh Hạ Long)
ハロン湾はハノイから車で約4時間のクアンニン省に位置します。海面からニョキニョキと突き出した大小2000の奇岩が静かな海面にその姿を映し出す幻想的な光景は、“海の桂林”と称され、ベトナムきっての景勝地として世界遺産にも登録されています。エメラルドグリーンの海と奇岩のコントラストを楽しむクルーズツアーは、ハノイから日帰りで訪れることができます。

●バッチャン村 Bát Tràng
ハノイ市街から約10㎞南東へ行った所にあるバッチャン村は、陶器の村として有名で、外国人旅行者の人気を呼んでいます。このあたりでは15世紀頃から陶磁器生産が盛んに行われるようになり、村の人口約5000人のうち9割近くが陶器作りに携わっています。
30分ほどで回れる小さな村ですが、卸売店をはじめ観光客用の工房兼ショップや、焼物市場などが並んでいます。ハノイ市内より価格は若干安く、落ち着いて買い物が楽しめるので、陶器好きの人は半日時間をとって訪れてみるのはいかがでしょうか。

100軒ほどの小さな店が並ぶバッチャン焼物市場
100軒ほどの小さな店が並ぶバッチャン焼物市場

ハノイのおすすめグルメ

ハノイのおすすめグルメ
ベトナム風サンドイッチ、バインミーの店も多い

●ホーム Home
在住外国人や旅行客に大人気の高級ベトナム料理レストラン。家庭料理から海鮮料理、旬の食材を使ったユニークなメニューまで揃い、味はもちろん、プレゼンテーションも洗練されています。

・住所: 34 Châu Long, Q. Ba Đình, Hà Nội 
・営業時間: 11:00~13:30、17:00~21:30
・URL: https://nhahanghome.vn

コロニアルな雰囲気の一軒家をアーティスティックに改築
コロニアルな雰囲気の一軒家をアーティスティックに改築

●クアン・コム・フォー Quán Cơm Phố
何を食べてもおいしいと評判のアットホームなレストラン。ベトナム北部の家庭料理を中心に、50種類以上の料理が楽しめます。海鮮料理や鍋もあります。

・住所: 29 Lê Văn Hưu, Q.Hai Bà Trưng, Hà Nội 
・営業時間: 10:30~14:00、16:30~21:00
・URL: https://www.facebook.com/quancompho

前菜3万ドン~、メイン7万ドン~とリーズナブル
前菜3万ドン~、メイン7万ドン~とリーズナブル

●フォー・ティン Phở Thìn
「ハノイでNo.1のフォー屋」との声も挙がる人気の店。メニューはフォー・ボー・タイ・ラン(ニンニクで炒めた牛肉のせフォー)1品のみですが、この味を求めて店は連日満席になり、夕方には売り切れることもあるので早めに訪れましょう。

・住所: 13 Lò Đúc, Q. Hai Bà Trưng, Hà Nội 
・営業時間: 5:00~21:00

フォー・ボー・タイ・ラン(6万ドン)
フォー・ボー・タイ・ラン(6万ドン)

ハノイおすすめのホテル

ハノイおすすめのホテル
本館のレジェンダリー・スイートの客室

●ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイ Sofitel Legend Metropole Hanoi
ハノイ随一の名門ホテル。伝統と格式を誇る100年以上の歴史やコロニアル調の内装や調度品が随所に刻まれ、各国のVIPや著名人も多数宿泊しています。屋外プールを囲むように、クラシカルな内装のメトロポール・ウイングと、モダンなオペラ・ウイングに分かれています。優雅なアフタヌーンティーが楽しめる「ル・クラブ」や、プールサイドの「バンブー・バー」など、宿泊せずとも利用したい魅力的な施設も充実しています。

・住所: 15 Ngô Quyền, Q. Hoàn Kiếm, Hà Nội 
・宿泊料金: 970万ドン~
・URL: https://www.sofitel-legend-metropole-hanoi.com/

●エッセンス・ハノイ Essence Hanoi
ハノイで展開する人気ホテルグループ。なかでも旧市街に建つこのホテルは立地のよさと、コロニアルな雰囲気で常に満室状態。スパやレストランのレベルも高い。

・住所: 22 Tạ Hiện, Q. Hoàn Kiếm, Hà Nội 
・宿泊料金: 80US$~

インテリアの細部にまでこだわっている
インテリアの細部にまでこだわっている
少数民族の里を訪ねるのも興味深い ©iStock
少数民族の里を訪ねるのも興味深い ©iStock

まとめ

まとめ
旧市街は昔ながらの風情と趣をたたえたエリア ©iStock

しっとりとした古都の趣と、活気あふれるベトナムのパワーが混在した首都ハノイ。ハノイ観光と一緒にぜひハロン湾やバッチャンで自然や文化に触れて、ディープなベトナムを感じてみてください。

TEXT: アジアランド 小坂歩
PHOTO: 竹之下美緒、湯山繁、アジアランド、iStock、ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイ、エッセンス・ハノイ

※本記事の観光関連情報は2020年4月29日現在のものです。

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2020年7月8日現在、ベトナムへの日本からの観光目的の渡航はできません。渡航についての最新情報、情報の詳細は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:  https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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