えんざん桃源郷「ひな飾りと桃の花まつり」(山梨県甲州市)

公開日 : 2019年02月24日
最終更新 :
筆者 : 水月
にぎやかに飾られた雛人形たち
にぎやかに飾られた雛人形たち

山梨県甲州市塩山では、春の風物詩「ひな祭りと桃の花まつり」が始まりました。山梨県では、季節の行事を旧暦でお祝いする風習が残っており、桃の節句はひと月遅れの4月3日に祝う地域も多いようです。野山が梅、桃、桜などで一面に彩られるこれからの季節にたくさんの人々に来てほしいと、「天草屋敷」には、約4,000体もの雛人形が飾られます。子どもの成長を願って飾られたやさしいお顔のお雛さまたちを観に、「天草屋敷」へ出かけてみてはいかがでしょうか。

重要文化財「甘草屋敷」

重要文化財「甘草屋敷」
JR塩山駅前から見た「甘草屋敷」
大きな日本家屋には、青空が似合います
大きな日本家屋には、青空が似合います

「甘草屋敷(かんぞうやしき)」は、JR中央線塩山駅前にあります。正式には旧高野家住宅という名で、薬用植物の甘草を栽培し、幕府に納めていたことから「甘草屋敷」と呼ばれるようになりました。

主屋のほか、9棟が重要文化財となっていますが、特に主屋は、19世紀初めに建てられていること、切妻造り茅葺型銅板葺きの屋根、そして、屋根を支える柱は、高く棟まで通る棟持柱で甲州地方独特の建築であるということから注目されています。

皇太子殿下・皇太子妃殿下行啓とかかれた石碑
皇太子殿下・皇太子妃殿下行啓とかかれた石碑
皇太子殿下・皇太子妃殿下がいらした「天草屋敷こども図書館」
皇太子殿下・皇太子妃殿下がいらした「天草屋敷こども図書館」

主屋右手奥には、重要文化財を公共の図書館に使っている建物があります。「天草屋敷こども図書館」には、2002(平成14)年、皇太子殿下・皇太子妃殿下がいらっしゃいました。

約4,000もの雛飾り

約4,000もの雛飾り
広いお屋敷に所狭しと飾られた雛飾り
江戸時代中期の享保雛
江戸時代中期の享保雛
大正時代から昭和初期にかけて飾られた御殿雛
大正時代から昭和初期にかけて飾られた御殿雛

建物の中に入ると、まずその雛飾りの数に圧倒されます。これらは、家庭で飾られなくなった雛人形の数々ですが、歴史を感じることができます。江戸時代の雛人形は、髪を植えつけず塗っていたそうです。また、神輿をつくる大工が競って作ったという御殿雛は、昭和30年代に七段飾りに取って代わられたなど、ボランティアの方が詳しく話してくれました。

木目込み人形のお雛さま
木目込み人形のお雛さま

山梨では、以前は「おぼこみ」という言葉をよく耳にしました。「ぼこ」というのは「子ども」のこと。子どもが生まれると、初節句にお祝いの品々を持って「ぼこ」を観にいくのが「おぼこみ」。親戚や親しい方の家を訪ねるのです。その日のために、立派な雛飾りを用意したそうです。

甲州名物ころ柿

甲州名物ころ柿
11月にころ柿を干していたときの「天草屋敷」
敷地内にある売店
敷地内にある売店
ころ柿のほか、ドライフルーツなども並んでいます
ころ柿のほか、ドライフルーツなども並んでいます

「甘草屋敷」では、11月になると甲州名物ころ柿を干します。ころ柿は、甲州市でおもに作られている山梨県の特産品です。

「枯露柿」と書き、木枯らしに吹かれ朝露にさらされた柿という意味や、風に吹かれてころころ回る姿から「ころ柿」と呼ばれるようになったなど、諸説あるようです。大きな百目柿で作るのが特徴で、できあがったころ柿は甘くてジューシーです。

「恵林寺」を訪ねる

「恵林寺」を訪ねる
重要文化財である四脚門。通称、赤門
赤門を抜けて次なる門、三門
赤門を抜けて次なる門、三門
禅寺のなかでもめずらしい、日本有数の大庫裡
禅寺のなかでもめずらしい、日本有数の大庫裡

「甘草屋敷」から車で5分ほど走ると、「乾徳山 恵林寺」があります。

「恵林寺」は、戦国最強の騎馬軍団を率い、「甲斐の虎」と恐れられた武田信玄の菩提寺だったお寺です。かつて、織田信長の焼き討ちにあい、多くの僧侶が火に包まれ、快川国師が「心頭滅却すれば火も自(おのずか)ら涼し」と言葉を残したことでも知られています。毎週土曜には、座禅体験会が開かれています。「甘草屋敷」と一緒に訪ねたいスポットです。

桃の花と一緒に

桃の花と一緒に
京都から送られてきたという雛飾り

いかがでしたか。山梨県の春の風物詩「ひな祭りと桃の花まつり」でにぎわう「天草屋敷」や「恵林寺」を紹介しました。近頃、梅の花が咲き始めました。桃の花の見ごろは、4月上旬から。桃の花と一緒にやさしいお顔のお雛さまたちを観に、山梨県甲州市へ出かけてみてはいかがでしょうか。

筆者

山梨特派員

水月

2000年に山梨県北巨摩郡明野村(現 北杜市明野町)に移住。田舎暮らしを始めました。3人の子育て経験や女性ならではの視点、食いしん坊の資質を生かして、山梨の魅力を発信していきたいと思っています。

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