世界遺産シャンボール城500周年! フランソワ1世とダ・ヴィンチの構想と特別展(フランス・ロワール渓谷)
フランスのロワール渓谷の多くの古城のなかでも、もっとも美しい城のひとつに数えられるのがシャンボール(Chambord)城です。2019年9月は、着工から500周年を迎えます。今回は、シャンボール城着工500周年を記念するイベントを紹介します。
世界最大のルネッサンスの城
シャンボール(Chambord)城と5,440ヘクタールの敷地は、32キロメートルに及ぶ塀に囲まれていて、これは囲まれた庭園としては、ヨーロッパ最大のものです。
シャンボール城は、若きフランス国王フランソワ1世の命により、ソローニュ(Sologne)の沼地に建てられました。狩りの際の城としても用いられましたが、諸侯に国王の権力を知らしめるため、その象徴の意味で建てられたのが、一番の建築目的だったようです。
1515年即位後まもなく、フランソワ1世は、現在のイタリア、マレニャーノ(Malegnano)の戦いに赴きます。この時、イタリアの建築やレオナルド・ダ・ヴィンチの作品を目にした国王は、その才能に魅了され、1516年レオナルド・ダ・ヴィンチを、「王のお抱え画家、建築家、技師」としてフランスに招きます。そうしてロワール渓谷クロ・リュセ(Clos Lucé)城にレオナルドを住まわせました。クロ・リュセ城からわずか500メートルほどの距離には王の城のひとつアンボワーズ(Amboise)城がありました。
レオナルドは、3年後、このクロ・リュセで、息を引き取ることになります。レオナルドの死去はシャンボール城建設が始まる数ヵ月前のことでしたが、シャンボール城建築にはレオナルドの構想が生かされていると考えられています。
シャンボール城は、1840年にフランスの歴史的建築物に指定されました。また、UNESCOの世界遺産には1981年に登録されています。
シャンボール城の建築に焦点を当てる特別展
現在シャンボール城では、初めてその建築にフォーカスを当てる特別展を、2019年9月1日まで開催中です。
この特別展では、世界33か所の施設から集まった150点に及ぶ展示物が並びます。いずれも、フランス国立図書館、ルーヴル美術館、ウフィツィ美術館、ブリティッシュ美術館、フィレンツェ国立中央図書館、ミラノのアンブロジアーナ図書館などから集まった貴重な資料ばかりです。特に目玉とされるのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ直筆アトランティコ手稿のオリジナル設計図3枚です。
特別展会場は、シャンボール城の3階。そこに至る前、城のほぼ中央に作られた二重螺旋階段にもどうぞ注目をお忘れなく。階段を上る人と下りる人が顔を合わせることがないよう作られたこの階段は、レオナルド・ダ・ヴィンチの設計によるものと考えられています。
リニューアルの数々
500周年に先立ち、シャンボール城では、数年前から塀や庭園の修復を行ってきました。なかでも見忘れてはならないのが、6.5ヘクタールのフランス風庭園と、色鮮やかにリニューアルされた内装です。
今回、再現を試みたのは、フランソワ1世が最後にシャンボール城に滞在したときの様子です。当時の国王は、宮廷ごと、国内を移動していたので、家具や布製品もすべて、移動のたびに持ち運びしていたのです。
9月6日のお祝いイベント
公式に着工日とされる9月6日には、大きなお祝いイベントが予定されています。
おもしろいのは、当時、採石場から城の建設現場までロワール川を船で運ばれた石の旅を再現する試みです。用いる船は、16世紀当時使われていた、底の平らなもの。これを操り、9月6日の数日前から、トゥール(Tours)、アンボワーズ(Amboise)、ショーモン・シュル・ロワール(Chaumont-sur-Loire)、ブロワ(Blois)、サン・ディエ・シュル・ロワール(Saint-Dyé-sur-Loire)を通って、9月6日にシャンボール城へ行きつくことになっています。
2019年9月6日当日19時からは、シャンボール城にて無料コンサートなどが予定されています。
城のライトアップ
また、フランス電気会社EDFの協力により、日没から深夜1時までは、ファサード4面がさまざまな色でライトアップされています。プログラムは12分間です。
そのほか、夏の間2019年9月29日までは、馬や鷹のショー(別料金)も敷地内で催されていますし、広い敷地内をくまなく楽しむため、2019年11月5日まではボートや自転車、電気自動車も貸し出されています。
レオナルド・ダ・ヴィンチの足跡を辿る特別共通チケットも!
観光客向けの説明パンフレットは14ヵ国語準備されていて、うれしいことに日本語も含まれます。また、2019年夏にリニューアルされたタブレット・ガイドも日本語版が提供されています。タブレット・ガイドは別料金で、大人6.5ユーロです。
いかがでしたか。ロワール渓谷の城のなかでも、シャンボール城は決して外せないもののひとつ。500周年の機会に、ぜひご訪問ください。
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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