土の下に眠る時間を掘り起こす、フランス考古学の日2018(6/15~6/17)

公開日 : 2018年06月02日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき
2018年考古学の日ポスター©Inrap
2018年考古学の日ポスター©Inrap

「注目!2018年はヨーロッパ文化遺産の年です!」で告知したように、今年はフランス国内イベントの複数が、「ヨーロッパ文化遺産の年」の枠組みで展開されます。

そのうち、6月15日(金)~17日(日)に予定されているのが「フランス考古学の日(Journées nationales de l’archéologie)」。参加費は基本的に無料。予約も不要です。

歴史遺産を知り、考古学を理解する

歴史遺産を知り、考古学を理解する
Réauの発掘見学©L.Gillion

このイベントは、フランスの文化省が、2010年から、INRAP(国立保護考古学研究所)に委託して行っているものです。その目的は、一般人に、歴史遺産をより良く知ってもらい、考古学の役割を理解してもらうというもの。発掘や、大学などの研究機関、博物館、そのほか考古学施設が、子どもから大人まで楽しめるインタラクティブな活動を提案する3日間です。

先に紹介した「ヨーロッパ文化遺産の年」関連のイベントと比べると、まだ動員数はそれほど大きくありませんが、それでも、昨年2017年は、フランス全国660か所で催された考古学の日イベントに、延べ15万5千人が集いました。

▷【関連記事】注目!2018年はヨーロッパ文化遺産の年です!

ネットからの検索方法

ネットからの検索方法
レンヌの発掘現場©MC Ivanoff

具体的にどこでどんなイベントがあるかは、公式サイトから検索できます。

地図から検索する場合はこちらのページをご覧ください。

イベントの内容から検索する場合はこちらです。

フランス語で書かれたイベント名のうち、観光客も楽しめそうなものは下記のとおり。イベント名をクリックすると、施設リストがずらりと出てきます。

石を削るデモンストレーション © H. Azmoun
石を削るデモンストレーション © H. Azmoun

【Atelier(アトリエ)】実際に手を動かして参加するイベント。子ども向けもあります。

【Circuit découverte(発見コース)】歴史を感じられる場所の散歩コースなど、天気が良ければ試したい屋外イベント

【Dégustation(試食)】ガリア人の食事再現、古代パン、古代ローマの料理レシピ再現など。

【Démonstration(デモンストレーション)】ガロ・ロマン時代のブロンズ、打製石器の制作や羊毛から布を作る様子などが見学できます。

【Exposition(展示)】考古学と絡めたさまざまなテーマの展覧会。多くの施設で予定されています。

【Portes ouvertes(オープンデー)】美術館、博物館の無料自由見学。また発掘現場など、普段は一般公開されていない場所の特別公開も。
【Projection(映像)】考古学に関するドキュメンタリーや映画などが上映されます。

【Spéctacle(スペクタクル)】劇やミュージカルなど、子供から大人まで対象のものが多いようです。

レンヌの発掘体験 ©MC. Ivanoff
レンヌの発掘体験 ©MC. Ivanoff

【Chantier de fouille(発掘体験)】考古学といえば、これを連想する人が一番多いのではないでしょうか?外せない発掘体験。全国33か所で楽しめます。

【Village de l’archéologie(考古学村)】都市を中心に登場するのがこの考古学村。考古学の日期間だけ、イベント用のテントが出現します。いまリストに上がっているのは、パリ、リヨン、ディジョン、ベルフォール、レンヌ、オルレアン、アジャクシオ、ナント、ニース、マルセイユです。

パリの考古学村

パリの考古学村
パリ国立古文書博物館の考古学村 © H.Azmoun

考古学村はパリにも出現します。場所は、パリのマレ地区にある国立古文書博物館(Musée des archives Nationales)。
住所:11, rue des Quatre Fils, 75003 Paris
最寄り駅:メトロ11番線Rambuteau駅
URL:http://www.archives-nationales.culture.gouv.fr/fr/web/guest/hotels-de-soubise-et-de-rohan

庭園内にはテントが張られ、専門家たちの話、考古学のドキュメンタリー映画上映、ガイド付きツアーなどのほか、多くのアトリエが予定されています。たとえば、古代ローマの彩色だとか、楔形文字の書き方、石磨き、焼き物づくり、遺跡発掘シミュレーションなど、なかなか興味を惹かれる内容です。

海外県の考古学村

海外県の考古学村
St.Cyrのアトリエ ©F. Capron

また、今年初めての試みとして、海外県の考古学村も、パリに誕生します。場所は、海外県省内。
住所:27, rue Oudinot, 75007 Paris
最寄り駅:メトロ10番線、13番線 Duroc駅

海外県って何?と思われた方。
フランスは、ヨーロッパ以外にも領土を持っていて、海外県、海外準県、海外領土など、複数のカテゴリーに分けられています。例えば、グアドループ、マルティニーク、レユニオン、マヨット、フランス領ポリネシア、サン・マルタン島などが挙げられます。

海外県省は、これらの海外領土を管轄する行政機関のこと。その海外県省の本拠地で、これらの海外県を考古学の視点から紹介する展覧会やアトリエが開かれるのです。
例えば、アンチル諸島のセラミック鑑賞だとか、グアドループの発掘現場を模したものなどが体験できることになっています。

考古学というと言葉が固いですが、地下に眠る時間を掘り起こす現場に興味がある方は、ぜひお近くのイベントに参加してみてください。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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