パレード、饅頭、饅頭取り合戦:見どころ満載の「長洲饅頭節」

公開日 : 2018年04月18日
最終更新 :
筆者 : 武田信晃
白熱する饅頭取り合戦
白熱する饅頭取り合戦

長洲島(Cheung Island)は、香港島からフェリーで約40分~1時間の所にある離島です。ちょっとした小旅行をした気分が味わえますので、週末は家族連れや友人同士で楽しむ香港人であふれかえる人気スポットです。この長洲島がもっとも盛りあがるのが、4月下旬から5月中旬に開催される「長洲饅頭節」です。漢字名で「長洲太平清醮」、英語名で「Cheung Chau Bun Festival」といわれる祭りです。太陰暦(旧暦)の4月8日にあたる日に開催される祭りですから、開催時期には幅があります。「長洲饅頭節」は、長洲島の名物である「饅頭」、「パレード」、塔にくくりつけられた饅頭をどれだけ獲得できるかを競う「搶包山比賽(The Bun Scrambling Competition)」の3つがイベントの核になっています。

香港国際空港から香港市街へ

香港国際空港から香港市街へ
エアポート・エクスプレスの乗り口

まずは、香港国際空港から香港市街への行き方を説明しましょう。行き方は大きく分けて3つあります。1つ目は、一番楽で早い、エアポート・エクスプレスといわれる専用列車です。朝6:00始発で10分おきに出発し、最終便は深夜0:45です。下記は、左から主要停車駅、所要時間、料金です。
・九龍(Kowloon)駅:22分:105香港ドル
・香港(Hong Kong)駅:24分:115香港ドル

2つ目はタクシーです。行き先によって3種類の色の違うタクシーに乗ります。香港島と九龍をカバーする市区的士(Urban Taxi)に乗る人は、赤色のタクシーに乗車してください。新界地区(New Territories)であれば緑色の新界的士(New Territories)です。空港があるランタオ島であれば青色の大嶼山的士(Lantau Taxi)に乗ってください。料金は、空港におおよその金額が張り出されています。中環(Central)や金鐘(Admiralty)なら370香港ドル、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)であれば270香港ドルが目安です。

3つ目はバスです。時間がかかりますが、もっとも安い交通手段で、香港中を網羅しています。空港の第1ターミナルと第2ターミナルの南側のほぼ中間にバスターミナルがあり、目的地ごとにバス停があります。たとえば、中環、湾仔(Wan Chai)方面はA11というバスで、所要時間は約1時間。料金は40香港ドルで、20~30分おきに出発しています。

タクシー乗り場
タクシー乗り場
目的地別のタクシー料金の目安がかかれている表
目的地別のタクシー料金の目安がかかれている表
空港にあるバスターミナル
空港にあるバスターミナル
目的地が書いてあるバス停に向かい、乗り込みます
目的地が書いてあるバス停に向かい、乗り込みます

香港市街から長洲島へ

香港市街から長洲島へ
長洲島に向かう5番ふ頭

香港市街から長洲島へ行くには、中環にあるフェリーターミナルの5番ふ頭に向かいます。フェリーは、所要時間約60分の普通渡輪(Ordinary Ferry)と、所要時間が短い約40分の高速船(Fast Ferry)の2種類があります。ふ頭に向かって左側が普通渡輪、右側が高速船の入口で、その奥にチケット売り場があります。

運賃は、月~土曜は普通渡輪の普通位(Ordinary=普通車に相当)が13.6香港ドル、豪華位(Deluxe=グリーン車に相当)は21.3香港ドルです。高速船は一律26.8香港ドルです。日曜・祝日は、それぞれ20.2、31.0、38.8と少し料金が上がります。

ふ頭の入口奥にチケット売り場があります
ふ頭の入口奥にチケット売り場があります
こんなフェリーに乗船します
こんなフェリーに乗船します

「長洲饅頭節」の起源とは?

「長洲饅頭節」の起源とは?
「長洲饅頭節」でにぎわう街頭

「長洲饅頭節」の起源は、清朝時代(1644~1911年)後期に長洲島を襲った疫病に遡ります。島民たちは、北帝廟という廟の前に祭壇を作ったほか、細道に神像を並べて、悪霊を追い払うよう神に祈ったところ、疫病はおさまったといわれています。香港にはこういった疫病にまつわる話は多いのですが、この長洲島の話は特に有名です。

普段の街の様子。疫病を克服して活気ある島になりました
普段の街の様子。疫病を克服して活気ある島になりました

「長洲饅頭節」のパレードを見る

「長洲饅頭節」のパレードを見る
「長洲饅頭節」の華やかなパレード

「長洲饅頭節」の見どころのひとつとして、パレードがあります。このパレードの主役は子供達で、山車の上に乗って長洲島の通りをゆっくりと通過していきます。子供達は、京劇の衣装を身にまとったり、歴史上の人物や今話題の人に扮したりしています。とても色鮮やかな衣装ですから、沿道のパレード鑑賞者からも「かわいい」という声が飛び交います。また、獅子舞なども一緒に参加して会場を盛りあげます。

長洲島名物の饅頭を味わう

長洲島名物の饅頭を味わう
「平安」と書かれた饅頭

長洲島の名物といえば饅頭です。疫病の話を書きましたが、この饅頭を食べると無病息災で幸せになるといわれています。どの饅頭の上にも「平安」と赤い文字が刻印されているが特徴で、「平安包」ともいわれています。

饅頭の中身は、はすの実にゴマが混ざった餡です。それほど甘くありませんから、食べやすいと思います。値段は店にもよりますが、大体5~10香港ドル位です。この「平安包」をモチーフにしたクッションやタオル、Tシャツなども売られていますので、香港らしい土産にもよいと思います。

饅頭を作るのに大忙し
饅頭を作るのに大忙し
平安を刻印していきます
平安を刻印していきます

メインイベントの「搶包山比賽」

メインイベントの「搶包山比賽」
大勢の人が詰めかけます

「長洲饅頭節」で一番注目されるのは「搶包山比賽」です。パレードが終わった日の深夜0:00に開始されます(厳密にいえば翌日にスタートということになります)。高さ14メートルの塔が3つあり、そこに9,000個のニセの「平安包」が取り付けられていて、3分以内にどれだけ多くの饅頭を獲得するのかを競います。

塔の上にある饅頭の方が得点が高いことになっていますので、多くの人が上まで登っていきます。実は、1978年に塔が倒れる事故があり、負傷者が発生したため、翌年から中止になってしまいました。しかし、市民の間で復活を望む声が多く、主催者は安定した塔を設置し、2005年から再び開催されることになりました。

男性を破って優勝したこともある鄭麗莎さん
男性を破って優勝したこともある鄭麗莎さん

今回、「搶包山比賽」を2011年、12年と女子の部で連覇し、とくに12年は男性を含めてナンバーワンになった鄭麗莎(Lisa Cheng)さんに、話を聞くことができました。

鄭さんは、スポーツクライミングでも世界的に好成績を上げており、饅頭の大会に勝った時はその身のこなし方から「蜘蛛女」の異名がつけられました。現在も香港政府によるエリート・アスリートの指定を受けて、さまざまなスポーツに関わっています。

「男女を分けて勝敗を決めますが、競技自体は一緒に行われます。勝負ですから、性別は関係ないので男性は女性を肘などを使って追い落とそうとしたりしますし、その逆もある厳しい戦いです。重要なスキルの1つはスピードで、腕で登るのではなく脚がキーポイントです。脚の使い方、運び方をみると面白いと思いますよ」と見どころを話してくれました。

優勝したときの鄭さん
優勝したときの鄭さん

また、「3分という競技時間なので時間配分も大事です。塔の上に上がってポイントの高い饅頭を取るのはいいのですが、時間内に降りてこなければ饅頭はカウントされないからです。命綱でもあるロープも扱い方を間違えるとスムーズに降りられなくなることもあります」と観客からは見えにくい技術が必要なことを教えてくれました。

最後に「目標を設置して、自分のことに集中した人が勝つと思います」と、どのスポーツにも必要な集中力が大事であると話してくれました。

取材も快く引き受けてくれました
取材も快く引き受けてくれました

「長洲饅頭節」は、中華文化の雰囲気を味わうことのできる貴重な機会です。しかも、普通の観光では訪れる機会が少ない離島で行われます。ぜひこの機会に、長洲島を訪れてみてはいかがでしょうか。

写真の一部提供:香港政府観光局、鄭麗莎

筆者

香港特派員

武田信晃

新聞社や香港現地邦人紙の記者/編集者を経て、フリーランス・ライターとして活動中。スポーツ、グルメ、エンタメまで幅広くカバーしている。

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