乗り物好きのためのドイツ博物館分館「交通センター」in ミュンヘン

公開日 : 2020年06月28日
最終更新 :
「交通センター」の入口 ©︎ドイツ博物館
「交通センター」の入口 ©︎ドイツ博物館

自然科学と技術分野の博物館としては世界で最大の展示面積を誇るといわれている、ミュンヘンにあるドイツ博物館。その博物館の分館のひとつに、車や電車など乗り物の展示に特化した「交通センター」があります。気がついたら夢中になって中を見回っているほど魅力的な「交通センター」をご紹介します。

【はじめに】2020年6月28日現在、観光目的の海外渡航は難しい状況です。『地球の歩き方ニュース&レポート』では、昨今の世界情勢をふまえ観光地情報の発信を抑制してきました。しかし、2020年5月31日で「期間限定の電子書籍読み放題サービス」が終了したこともあり「近い将来に旅したい場所」として、世界の現地観光記事の発信を2020年6月以降、再開することにいたしました。

世界各地のまだ行ったことのない、あるいは再び訪れたい旅先の詳しい情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス禍収束後は、ぜひ旅にお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを、心より願っています。

「交通センター」には何がある?

「交通センター」には何がある?
大量生産自動車の先駆け「T型フォード」

ドイツ博物館の分館である「交通センター」では、交通にまつわる展示品がドイツ語と英語の解説と共に展示されています。その種類は馬車やオールドタイマー(クラシックカー)、ハイブリッド車、F1、汽車、昔のスキーやスケート靴、自転車など多岐にわたります。
そのなかでも目を引くのが、かの有名な「T型フォード」。20世紀初頭に販売されたT型フォードは、ベルトコンベアーを用いての高効率生産による製造コスト削減に成功し、大量生産されました。

メッサーシュミットという航空機メーカーの、1954年に造られた3輪の車(前方が2輪、後方が1輪)にも注目です。メッサーシュミット社は、戦時中に多くの飛行機を造っていましたが、戦後は航空機の製造が禁止されたため、車を造るようになりました。拠点はバイエルン州のアウクスブルクとレーゲンスブルク。3輪のため、転倒しにくい造りになっていたもののカーブなどのでの操舵操作が難しかったようです。それにもかかわらず、5万台も売れたヒット作になりました。

さらにF1のエンジンや、空気抵抗を計算して効率的な形に造られた流線型の車、世界初のハイブリッド車に加え、メッキされたパーツが輝くキャデラック、フォルクスワーゲンのバス(T1)、ゴルフGTIなど豊富なラインアップが揃っています。
ドイツ各地でオールドタイマーに関するイベントがよく開催されますが、同館ではそうしたイベントでは見ることができないような、さらに古い乗り物もたくさん展示されています。古いものだけではなく、時代と共に進む技術革新の歴史や最新技術についても学ぶことができます。
車や乗り物好きな方であればより楽しめるでしょう。車に興味がない方もどこかで見たことのある懐かしい乗り物や新しい発見があったりと、不思議な魅力があふれる博物館です。

車の部品などの小さな展示コーナー

車の部品などの小さな展示コーナー
ひと目で分かるタイヤの歴史

車のタイヤが展示されているコーナーも注目です。一番古いものは、紀元前のもの(これに限ってはレプリカ)。時代とともに変わっていくタイヤの素材が体系的に見て取れる展示になっていて、とても興味深いコーナーです。近くには自転車のタイヤの展示もあり、いかに人々が各時代に工夫して製造していたかがわかります。
ほかには、スキーやアイススケート用のスケート靴などの展示コーナーもあり、博物館独自の視点が垣間見られるコーナーになっています。

自転車の歴史がわかる展示コーナー

自転車の歴史がわかる展示コーナー
ハイホイールバイク

自転車の展示では、ペダルがない時代のものもあれば、写真のようなハイホイールバイクと呼ばれる前輪と後輪の大きさが異なる自転車の展示も。そして各世代で懐かしく感じるような自転車や、折り畳み式、電動自転車のような現在用いられているものまでが並んでいます。
単なる“人力で動く2輪車”ではありますが、時代による変遷を見れば普段使っている自転車がとても新鮮に感じられるかもしれません。

電車好き必見のトラム、郵便列車、ミニチュア摸型

電車好き必見のトラム、郵便列車、ミニチュア摸型
ニュルンベルクとフュルトの間を初めて走行したトラム

写真は、ニュルンベルクとフュルトの間を初めて走ったトラムです。世界史で習ったこの2都市間を初めて走った汽車のこと?とびっくりするかもしれませんが、それは1835年に開通したドイツ最初の鉄道である蒸気機関車で、こちらの展示物はそのときよりもおよそ100年後の20世紀に造られたトラム。ニュルンベルク〜フュルト間を走った100台のうちの1台だそうで、前方向にも後ろ方向にも走れる造りになっています。
郵便列車は車内に入ることができ、走行中に郵便物を仕分けしていた時代を想像し、まるでタイムスリップしたような気分を味わえます。ミニチュア摸型などもあり、鉄道ファンにはたまらないコーナーでしょう。

子供も夢中になる仕組み<br />

子供も夢中になる仕組み<br />
高さのあるホールを利用した滑り台も

展示室内には小さな子供が退屈しないようにさまざまな工夫があります。滑り台(上写真)があったり、本物のトラックの運転席に座れたり、乗り物の色ぬりができるコーナーなどがあります。また、コンピューターを使ってクイズに挑戦できるコーナーや、技術的な解説をコンピューターグラフィックスで説明してくれるコーナーなど、遊び感覚で楽しく学べる仕掛けもありました。
子供が楽しめる場所や仕組みは、大人がゆっくり博物館の展示を見られるため、家族連れには非常に重要なポイントです。ミュンヘンにお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

■ドイツ博物館分館「交通センター」
・住所: Am Bavariapark 5, 80339 München・アクセス: 地下鉄U4、U5のSchwanthalhöhe駅から徒歩すぐ
 ※駅構内に案内板あり
・開館時間: 9:00〜17:00
・休館日: ファッシングやクリスマスなどの祝日・料金: 大人 €7、子供(6歳〜17歳) €3、5歳以下の子供無料、シニア(65歳以上) €5、身体障害者 €5、家族チケット(大人2名までと17歳以下の自分の子供) €15※3館共通チケット(有効期限12ヵ月) €21あり。ドイツ博物館および航空機センターで販売
・URL: https://www.deutsches-museum.de/en/verkehrszentrum/information/visitor-information/

「交通センター」は地下鉄出口からすぐ見えるのでアクセスは抜群です。展示室内を効率的に見て回るために、訪れる前にスマートフォンに無料のアプリをダウンロードし、ドイツ博物館のウェブサイトにある展示物情報をチェックしておくことをおすすめします。

※本記事は2020年6月3日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2020年6月28日現在、ドイツへの日本からの観光目的の渡航はできません。渡航についての最新情報、情報の詳細は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:  https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

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