変わりゆく激動の中国の中で、変わらぬ想いを抱えた女と男がすれ違う。映画『帰れない二人』

公開日 : 2019年08月13日
最終更新 :
映画『帰れない二人』
映画『帰れない二人』

移ろいゆく景色、街、心。それでも、愛し続ける。総移動距離7,700km! 現代中国を背景に描き出す、17年におよぶ愛の物語。映画『帰れない二人』が、9月6日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開となります。

『帰れない二人』ストーリー

『帰れない二人』ストーリー
『帰れない二人』ストーリー

【ストーリー】
2001年、山西省・大同(ダートン)。

チャオの恋人はヤクザ者のビン。
地上げの片棒を担いだり、雀荘などの遊戯場を仕切ったりする毎日。
ビンは仲間内からも一目置かれ、兄貴的な存在。
この仁義の世界で、義侠心を重んじながら、のし上がろうとしている男。
でも、チャオはもっとささやかなビンとの幸せを夢に描いていた。

チャオの父は炭鉱作業員だが、石炭価格の暴落で仕事がない。
「鉱山局は新疆(シンジャン)に移転するらしい。石油を掘れってことだ」。
炭鉱の街だらけの山西省は無職の者が増えてゆく。

「お前すごいんだろ! 冠くれてやるよ!」
ある夜、二人の乗った車がチンピラに囲まれ、ビンは暴漢たちに襲われる。
拳銃を持って車を出るチャオ。空に向かって威嚇射撃。
響き渡る銃声に若い暴漢たちは動きを止めた――。

2006年、長江・三峡、奉節(フォンジェ)

5年後に出所したチャオはビンを探しに奉節へやってきた。ゆったりと流れる大河。
「三峡ダムの水位が上昇します。数年後三峡へ再訪する頃には、景色の一部は川底の遺産でしょう」観光アナウンスが響く。

久しぶりのビンとの再会。しかし、すべてを失ったビンは故郷・大同には帰れない、と言う。伝えたかった5年分の言葉を飲み込み、立ち去るチャオ。

大同と違い、多くの人が行き交う街・奉節。ダム建設のために訪れた人と住み慣れた街を去らねばならない人。港では人々が寂しげに佇む。
「奉節から広東(グアントン)へ移住する皆さん。あと30分で乗船ですー―」

アナウンスが響く。

汽車で乗り合わせた男に新疆ウイグル自治区ならすぐに仕事が見つかると聞き、
チャオは乗り換えの武漢(ウーハン)から38時間かかる新疆のウルムチへ向かう。

2017年、大同

中年になったチャオとビン。
すれ違い続けた二人は再び、大同で出会う――。

という、中国を舞台にした壮大な物語。

ウルムチ/新疆ウイグル自治区

ウルムチ/新疆ウイグル自治区
ウルムチ/新疆ウイグル自治区

世界で最も内陸にある大都市ウルムチ。中国最大の面積を持つ、新疆ウイグル自治区の中心地。ウイグル族、漢族のほか多くの民族が自治区内で暮らしている。乾燥しており、季節による温度差が大きい。新疆の約1/4が砂漠でタクラマカン砂漠を有する。石油と天然ガスの埋蔵量が豊富で、油田開発が新疆の経済発展を支えた。西部大開発計画の一環として、石油、電気、ガス、人を運ぶインフラが急速に整えられた。武漢からウルムチまで列車で約38時間、北京から30~40時間ほど。ウルムチからカラマイまで約4時間。

奉節/三峡ダム

奉節/三峡ダム
奉節/三峡ダム

重慶市奉節は三峡にある古都で、三国志の劉備が呉に敗れ、生涯を終えた地。三峡とは、長江の中流、四川省から湖北省の約200kmにおよぶ3つの峡谷。古来より山水画の題材に好んで描かれ、今もその景色をとどめている。その三峡の下流を堰き止めて作ったのが世界最大の三峡ダムで総貯水量393億m³、ダム湖の総面積1084km²(東京都の約半分)。洪水をコントロールするとともに、貯水量も世界一、水力発電による年平均発電量は毎時846.8億kwで世界最大の発電所。奉節に限らず、三峡周辺の約130万人の住民が移住を強いられた。重慶から奉節まで川を下ると約5時間。宜昌から奉節へは観光船で立ち寄り観光など含め、2泊3日ほど。三峡ダムを通るためには5時間ほど停泊する。

大同/山西省

大同/山西省
大同/山西省

山西省の北部に位置する地方都市。河北省や内蒙古自治区と接し、世界遺産「雲岡石窟」や中国三大九龍壁のひとつを有する観光都市でもある。北京からバスで約4時間半。日本から直行便乗り入れはない。砂漠性の気候で乾燥しており、1月の平均気温はマイナス11.3℃と冬は非常に寒い。ジャ・ジャンクー監督の故郷・汾陽は山西省の中部にある。山西省は中国最大の石炭の産地。

公開情報

公開情報
公開情報

激動の21世紀中国。
北京五輪開催、三峡ダム完成、経済の急成長……
変わりゆく17年の月日の中で、変わらぬ想いを抱えた女と男がすれ違う。
映画『帰れない二人』は、9月6日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開となります。

■『帰れない二人』
9月6日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!
URL:http://www.bitters.co.jp/kaerenai/
監督・脚本:ジャ・ジャンクー 賈樟柯
©2018 Xstream Pictures (Beijing) - MK Productions - ARTE France All rights reserved

筆者

地球の歩き方ウェブ運営チーム

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』のメディアサイト『地球の歩き方web』を運営しているチームです。世界約50の国と地域、160人以上の国内外の都市のスペシャリスト・特派員が発信する旅の最新情報をお届けします。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。